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AIはゼロデイ脆弱性を検出して軽減できるのか?

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MATT MCCABE
March 24, 2025 - 6 分で読了

はじめに

サイバーセキュリティは終わりのない軍拡競争です。セキュリティ アナリストが新しい防御策を開発するたびに、攻撃者はそれを回避する方法を見つけます。悪用されるまで開発者が気づかないセキュリティ上の欠陥であるゼロデイ脆弱性ほど、この状況が顕著に反映されているものはありません。これらの脆弱性は定義上、識別するための事前定義された検出方法がないため、特に対応が難しい課題をもたらします。

しかし、セキュリティにおける人工知能(AI)の進化により、サイバー脅威の検出に対するアプローチが大きく変わりつつあります。AIは大量のデータをリアルタイムで分析できるため、セキュリティ リスクが被害をもたらす前に予防的に特定し、軽減することが可能になります。この記事では、AIセキュリティ ソリューションがどのように脅威の検出と対応の在り方を変革し、これまで以上に効果的にゼロデイ脆弱性に対処できるようにするのかを考察します。

ゼロデイ脆弱性とは

ゼロデイ脆弱性とは、ソフトウェアやハードウェアに存在するセキュリティ上の欠陥の中でも、ベンダーがその存在を認識しておらず、修正用のパッチやプログラムがまだ提供されていないものを指します。このような脆弱性を悪用すれば、従来のアラートを発生させることなく機密システムに直接アクセスできるようになるため、攻撃者にとって非常に魅力的な標的となっています。

ゼロデイ脆弱性の最も危険な側面は、その検出の難しさにあります。既知の脅威であれば、セキュリティ部門がシグネチャーや行動パターンを通じて追跡できるのに対し、ゼロデイ攻撃は密かに行われるため、セキュリティ インシデントが発生するまで気づかれないというケースは少なくありません。検知された時点では、すでに深刻な被害が発生していることが多く、データ侵害や金銭的損失、企業イメージの低下などのさまざまなリスクを引き起こします。

この脆弱性によるリスクは、小規模な企業から政府機関に至るまで、世界中の組織におよびます。ゼロデイ脅威による被害は壊滅的なものになり得るため、機密情報が漏洩し、業務の大規模な混乱を引き起こす可能性があります。組織がゼロデイ攻撃に直面するか否かではなく、「いつ」直面するかが重要な問題となっています。

ゼロデイ脆弱性の例

過去の事例を見ると、ゼロデイ脆弱性がいかに壊滅的な影響を与えるかがわかります。以下は、その影響を浮き彫りにする代表的な3つのインシデントです。

  • ProxyLogon (2021年): Microsoft Exchange Serverの重大なゼロデイ脆弱性を悪用し、組織や政府機関に影響を与える広範なデータ侵害を引き起こしました。
  • MOVEit Transferの脆弱性(2023年): MOVEitファイル転送ソフトウェアを標的とするゼロデイ脅威がハッカーによって悪用され、世界中の何千もの組織から機密データが盗み出されました。
  • Log4Shell (2021年):広く使用されているLog4jソフトウェアの重大な脆弱性により、影響を受けたシステムでリモート コード実行が可能となり、広範囲で悪用されました。

以上の事例からも、最先端のAIサイバーセキュリティ防御を開発し、悪意のあるアクティビティーが大混乱を引き起こす前に対応することが急務であることがわかります。

サイバーセキュリティにおけるAIの役割

では、AIはこの状況に対しどのような役割を果たすのでしょうか?

大量のデータをリアルタイムで処理できる機械学習アルゴリズムにより、AIはゼロデイ脅威インテリジェンスへの革新的なアプローチを提供します。事前定義されたルールに頼る従来のセキュリティ システムとは異なり、AIは新しい潜在的な脅威に適応し、他の方法では見過ごされがちなパターンを特定します。

AIの機能

AIは、次のような主な機能を通じてサイバー脅威の検出を強化します。

  • パターン認識:システムの動作の異常を検出し、攻撃を示す可能性のある異常なアクティビティーを警告します。
  • 自然言語処理(NLP):脅威インテリジェンス レポートをスキャンし、悪用される前に傾向と新たな脆弱性を特定します。
  • 予測分析:潜在的な脅威を予測することで、組織が事後対応型の防御ではなく、事前予防的なセキュリティ対策を実装できるようにします。

AIの技術

AIを活用したセキュリティは、パターンを認識するだけでありません。攻撃者とともに学習し、進化します。これを可能にするのが、次の2つの重要な手法です。

  • 機械学習(教師ありモデルと教師なしモデル):これらのモデルは、システムの通常の動作に対する理解を継続的に学習して改善し、ゼロデイ脅威を示す可能性のある逸脱を検出します。
  • ディープ ラーニング:ニューラル ネットワークはエンドポイントでの検知と対応(EDR)を強化し、人間のアナリストが見逃しかねない微細な悪意の兆候を特定します。

AIは、継続的な防御においても重要な役割を果たします。攻撃手法が進化すれば、AIシステムも進化するため、脅威環境が変化してもAIを活用した検出方法は有効であり続けます。

AIはリアルタイムでゼロデイ脆弱性を検出できるのか?

ゼロデイ脆弱性をリアルタイムで検出することは、非常に大きな課題です。これらの脅威には事前定義されたシグネチャーがないため、従来のセキュリティ ソリューションでは特定できません。

しかし、AIは既知の攻撃パターンに頼るのではなく、行動分析でこの課題を解消します。AIはアプリケーションやネットワークの動作を監視することで、脅威自体がまったく新しいものであっても、通常のアクティビティーから逸脱したセキュリティ リスクを特定します。

AIを活用した一部のセキュリティ ツールは、すでにこの機能を実証しています。たとえば、EDRソリューションは行動分析で異常を特定し、攻撃がエスカレートする前に防止します。同様に、クラウド型のAIソリューションは、複数の組織にまたがる大量のデータを分析することで、ゼロデイ脅威の特定と対抗にかかる時間を短縮します。

ゼロデイ脆弱性の軽減におけるAIの役割

脅威の検知と対応は、戦いの一部にすぎません。ゼロデイ脆弱性が特定されると、AIを活用したシステムは即座に対応してその影響を軽減します。

  • パッチ適用の自動化と脆弱性管理:AIはパッチに優先順位を付けて適用することで、攻撃者が悪用する前にセキュリティ ギャップを解消します。
  • 侵害されたシステムのセグメンテーション:AIは影響を受けたデバイスを隔離し、攻撃者によるネットワーク上のラテラル ムーブメントを防ぎます。
  • リアルタイムの応答:人間のアナリストとは異なり、AIは瞬時に反応するため、被害の拡大の阻止とダウンタイムの短縮が可能になります。

インシデント対応にAIを統合することで、検出から軽減までの時間を大幅に短縮し、システムのセキュリティを維持できます。

ゼロデイ脅威の検出と軽減にAIを活用するメリットと課題

メリット

  • リアルタイムの分析と対応:AIは人間のセキュリティ部門よりも迅速に情報を処理します。
  • スケーラビリティー:AIは大規模で複雑なネットワークにも適応し、包括的な保護を確保します。
  • 作業負荷の軽減:AIは脅威検出を自動化することで、セキュリティ部門が無限のアラートではなく戦略的な防御に集中できるようにします。

課題

  • 誤検知:過度に感度の高いAIシステムは、無害なアクティビティーを疑わしいものと警告し、不必要な混乱を引き起こす可能性があります。
  • データ依存:AIには大量のトレーニング データが必要であり、新たな脅威や進化する脅威のためのデータ取得は難しい場合があります。
  • 敵対的AI:攻撃者はすでにAI検出を回避する手法を開発しており、AIを活用したセキュリティには継続的な進歩が必要です。

ゼロデイ脆弱性管理におけるAIの未来

AIとサイバーセキュリティの融合はまだ初期段階にありますが、その可能性は計り知れません。AIが進化し続ける中で、次のようなさらなる進歩が期待されます。

  • ゼロトラスト ポリシーとのより緊密な統合:デフォルトでは誰も信頼しないゼロトラスト アーキテクチャーを実施するうえで、AIは中心的な役割を果たします。
  • 予測型サイバーセキュリティの標準化:AIは、セキュリティを従来の事後対応型から予防型に変えて、脅威が顕在化する前に阻止します。
  • AIによる脅威ハンティング部門の強化:人間のアナリストがAIと連携し、人間の直感的な判断と機械の正確性を組み合わせることで、最も効果的な防御戦略を構築します。

ゼロデイ脆弱性がなくなることはありません。しかし、AIによってサイバーセキュリティが進化するにつれ、機密データを保護し、ゼロデイ攻撃に対抗し、より回復力のあるデジタルの未来を築く可能性が高まります。

まとめ

Zscalerは、AIを活用した脅威対策をゼロトラスト アーキテクチャーに組み込むことでサイバーセキュリティを再定義し、進化するサイバー リスクに対抗します。クラウド型のセキュリティにより、攻撃対象領域を排除し、ラテラル ムーブメントを防止しながら、AIを悪用する脅威が重要なシステムに侵入する前に阻止します。

Zscalerが提供するリアルタイムの脅威インテリジェンスや完全なTLS/SSLインスペクションを活用し、AIで強化されたポリシーを施行すれば、組織はデータの整合性を損なうことなく、新しい技術を安全に導入できるようになります。サイバー攻撃が巧妙化する中、ZscalerのZero Trust Exchange™は最新の脅威に対応するために求められる包括的な可視性、自動化、保護を提供します。

Zscalerを導入することで、組織はセキュリティ態勢を強化しながら、デジタル トランスフォーメーションを加速できます。

  • 脅威が攻撃になる前に阻止:AIを活用したインラインの脅威対策により、悪意のあるアクティビティーを発生源でブロックします。
  • 複雑さの排除とコストの削減:古いVPNやファイアウォールをクラウドネイティブのセキュリティ プラットフォームに置き換えます。
  • 機密データの保護:高度な情報漏洩防止(DLP)とAIを活用したセキュリティ ポリシーで、不正アクセスを防止します。
  • 運用効率の向上:脅威対応を自動化することで、セキュリティ部門が戦略的な取り組みに集中できる環境を確保します。

AIを活用したZscalerのサイバーセキュリティ ソリューションで組織を保護するための次のステップを踏み出しましょう。今すぐデモを依頼し、ゼロトラストとAIでセキュリティ戦略を変革する方法をご確認ください。

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