/ ゼロデイ脆弱性、ゼロデイ エクスプロイト、ゼロデイ攻撃とは
ゼロデイ脆弱性、ゼロデイ エクスプロイト、ゼロデイ攻撃とは
ゼロデイ脆弱性、ゼロデイ エクスプロイト、ゼロデイ攻撃は、セキュリティ上の未知の欠陥、それを悪用する手段、そして実際の標的に対する攻撃という進行段階を表しています。攻撃者はゼロデイの手口でシステムを侵害し、データを盗みます。各段階とそれらを管理する効果的なツールや戦略を理解することは、現代の脅威対策において不可欠です。
概要
• ゼロデイ脆弱性、ゼロデイ エクスプロイト、ゼロデイ攻撃は、セキュリティ脅威のライフサイクルの各段階を表しています。
• ゼロデイ脆弱性は、ソフトウェアやハードウェア、ファームウェアに存在するパッチ未適用の欠陥から生じ、その多くは、コーディング エラーや設計上の欠陥を指します。
• ゼロデイ エクスプロイト(RCEや権限昇格などのツール)により、これらの欠陥を武器化します。
• ゼロデイ攻撃は、脆弱性とエクスプロイトを組み合わせてシステムを侵害してマルウェアを拡散し、重要なデータを盗みます。
• Zscalerのゼロトラスト アーキテクチャーは、脅威検出、リアルタイムのトラフィック検査、脆弱性管理によってゼロデイ リスクを軽減します。
ゼロデイ脆弱性とは
ゼロデイ脆弱性とは、IT資産(ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア)に存在するセキュリティ上の欠陥であり、資産の開発者には知られておらず、パッチも提供されていないものを指します(そのため、「ゼロデイ」とは、開発者が問題に対応するための期間が0日であった状態に由来します)。攻撃者は標的の防御にこうしたギャップを発見すると、それを巧みに悪用して密かに攻撃の足がかりを築きます。
ゼロデイ脆弱性は多くの場合、開発段階でテストやピア レビューなどの安全な設計が行われなかったり、ヒューマン エラーが原因で発生します。最も一般的な原因は次のとおりです。
- 構文やロジック、仮定のコーディング エラー(例:ユーザー入力を検証しないことでインジェクション攻撃を許してしまう)。厳しい納期やテストの省略は、コーディング エラーの一因となります。
- アーキテクチャーや機能の設計上の欠陥(例:権限昇格の制御が不十分で不正アクセスを許してしまう)。計画不足や拙速な設計は、こうしたリスクを高めます。
- サプライ チェーンの依存関係に潜む欠陥(例:ベンダーが提供するデータベースやソフトウェア コンポーネントに未修正の欠陥がある)。
ゼロデイ脆弱性が危険な理由
ゼロデイ脆弱性は広く使用されているシステムに存在することが多く、1つの欠陥が世界中の何百万台ものデバイスを危険にさらす恐れがあります。攻撃者はこうした脆弱性を悪用し、既知の脅威パターンに依存する従来の防御を回避します。ゼロデイ脆弱性にパッチが適用されない限り、組織は無防備な状態となり、攻撃を実行する十分な機会を与えてしまいます。
ゼロデイ脆弱性は数か月、あるいは数年にわたって未知のままで存在することがあります。たとえば、2021年後半に公表されたLog4Shellの脆弱性は、2013年からLog4jコードベースに存在していました。
攻撃者がゼロデイ脆弱性を発見して悪用する仕組み
ゼロデイ脆弱性を発見するための最も一般的な手法は、ファジングとリバースエンジニアリングです。ファジングは、ランダムなデータを大量に送り込んでシステムをクラッシュさせようとするもので、コード インジェクションやサービス拒否の脆弱性発見に特に有効です。一方、リバース エンジニアリングは、コードの中核となる構造とロジックを明らかにし、認証を回避して権限を昇格する方法を発見できます。また、未公開の脆弱性が闇市場で売られることもあります。
攻撃者が脆弱性に関する情報を独占するとしても、販売するとしても、次の段階は脆弱性の悪用です。
ゼロデイ エクスプロイトとは
ゼロデイ エクスプロイトとは、攻撃者がゼロデイ脆弱性を悪用するための手段です。言い換えれば、エクスプロイトは脆弱性を潜在的なリスクから実際の脅威に変えるものです。脆弱性はほとんどの場合、防御者に知られていないため、基本的な防御はこうしたエクスプロイトに対してほとんど効果を発揮しません。
ゼロデイ エクスプロイトの種類
ほとんどのゼロデイ エクスプロイトは、ソフトウェアやシステム アーキテクチャー、セキュリティ プロトコルの脆弱性を直接狙います。最も一般的なゼロデイ エクスプロイトには次のようなものがあります。
- リモート コード実行(RCE):遠隔からシステム上で不正なコマンドを実行します。攻撃者はデータの窃取、マルウェアの拡散、さらにはアプリケーションやネットワークの制御もできるようになります。
- 権限昇格:管理者権限などの高レベルの権限を取得します。攻撃者は機密性の高いシステムやファイルにアクセスし、操作できるようになります。
- 認証バイパス:ログイン プロトコル、ファイアウォール、またはその他のセキュリティ対策の欠陥を悪用し、攻撃者が適切な認証情報なしで制限されたシステムにアクセスできるようにします。
- フラッディング技術:標的システムの帯域幅やメモリー、処理リソースを圧倒し、システムの応答不能やクラッシュを引き起こします(サービス拒否攻撃)。
- 悪意のあるコード インジェクション:アプリケーションやデータベースに有害なクエリーや命令を送り込み、業務妨害、ユーザーへのなりすまし、セッションの乗っ取り、機密データへのアクセス、改ざん、窃取を行います。
- メモリー破損:バッファー オーバーフローなどのメモリー割り当てのエラーを悪用し、システムの重要領域のコードを上書きします。これにより、攻撃者はシステムのクラッシュ、権限昇格、マルウェアの実行ができるようになります。
いずれかの手法が成功すると、ゼロデイ エクスプロイトはゼロデイ攻撃になります。
ゼロデイ攻撃とは
ゼロデイ攻撃は、パッチが適用されていない未知の脆弱性と1つ以上のエクスプロイトを組み合わせて、標的システムを侵害します。その後、攻撃者はマルウェア(スパイウェア、ランサムウェア、リモート アクセス型トロイの木馬など)をインストールし、データを盗んだり、サイバー スパイ活動を行ったり、運用を妨害したりします。
現代のIT環境は規模の拡大とシステムの複雑化が進み、それに伴い、ゼロデイ攻撃を受けるリスクは著しく増大しています。特に、クラウドの導入、IoTデバイス、ハイブリッド インフラは攻撃対象領域を拡大させます。また、競争圧力によって開発サイクルを短縮し、重要なセキュリティ工程を省略することで、新たな脆弱性が発生します。
同時に、サイバー脅威は急速に進化しています。国家支援型グループや資金力のある独立した攻撃者は、ファジングやAIによるテストなどの高度なツールで欠陥を迅速に発見、悪用しており、組織のリスクは一層高まっています。
ゼロデイ攻撃とゼロデイ脆弱性の実例
ゼロデイ攻撃は、政府機関、製造、小売、金融、医療など、あらゆる業界に影響を及ぼします。以下のような歴史上最も影響力が大きく被害が甚大となったサイバー攻撃にも関与してきました。
- Stuxnet (2010年):この高度なワームは、5件のWindowsゼロデイ脆弱性を悪用してイランの核開発計画を標的とし、約1,000基のウラン遠心分離機に重大な損害を与えました。
- Equifaxのデータ侵害(2017年): Apache Struts Webアプリケーション フレームワークのゼロデイ脆弱性により、攻撃者は1億4,700万人を超える個人の機密データにアクセスしました。
- Microsoft Exchange Server攻撃(2021年):中国の国家支援型ハッカーがMicrosoft Exchange Serverのゼロデイ脆弱性を悪用し、メール アカウントに不正アクセスすることでマルウェアを展開しました。
- 従来のファイアウォールとVPN: Google Threat Intelligence Groupは、2024年だけでセキュリティとネットワーク製品におけるゼロデイ脆弱性を20件特定しました。これはエンタープライズ向けテクノロジー全体のゼロデイ エクスプロイトの60%を占めており、攻撃者は特にファイアウォールやVPNなどの従来のソリューションを重点的に狙っています。Googleによれば、Ivanti、Palo Alto Networks、Ciscoがその主な攻撃対象となっています。
その他のリソース
ゼロデイ防御のための9のベスト プラクティス
ハードウェアやソフトウェアのベンダーは、自社のソリューションに脆弱性が一切ないと断言することはできません。そのため、ゼロデイ攻撃から身を守るには、リスクを最小化し、全体的なセキュリティを強化する必要があります。その最も効果的な方法となるのが、包括的なゼロトラスト アーキテクチャーの導入です。これにより、以下が可能になります。
- 攻撃対象領域の最小化:アプリケーションやVPNなどの脆弱な資産をインターネットから不可視化し、攻撃者が発見できないようにします。
- 初期侵入の防止:暗号化されたトラフィックを含むすべてのトラフィックをリアルタイムでインライン検査し、ゼロデイ エクスプロイトやマルウェアなどの高度な脅威を阻止します。
- 最小特権アクセスの施行:アイデンティティーとコンテキストに基づいてアクセス許可を制限し、許可されたエンティティーのみが許可された資産にアクセスできるようにします。
- 不正アクセスのブロック:強力な多要素認証(MFA)を使用してユーザー アイデンティティーを検証します。
- ラテラル ムーブメントの制限:ユーザーをネットワークではなくアプリケーションに直接接続させて、潜在的な攻撃の影響範囲を制限します。
- 内部脅威の検知:インライン検査と監視により、ネットワークや機密性の高い資産にアクセスする侵害されたユーザーを検知します。
- データ漏洩の防止:転送中データと保存データを検査することで、データの窃取を阻止します。
- 予防的な防御の展開:デセプション テクノロジーなどを展開することで、攻撃者をリアルタイムで誘導し、無力化します。
- セキュリティ態勢の評価:サードパーティーによるセキュリティ リスク評価とパープル チーム演習を通じて、セキュリティ フレームワークのギャップを特定します。
Zscalerでゼロデイ攻撃を防止
Zscaler Zero Trust Exchangeプラットフォームは、攻撃対象領域を最小限に抑え、不正侵入を防ぎ、ラテラル ムーブメントを排除し、データ漏洩を阻止するために構築された包括的なゼロトラスト アーキテクチャーであり、ゼロデイ脅威を未然に阻止します。
Advanced Threat Protectionは、トラフィックをリアルタイムで監視し、ゼロデイ エクスプロイトを含む悪意のある活動を検出および阻止します。AIを活用した高度な分析で疑わしい動作を特定し、侵害が発生する前に排除します。
Unified Vulnerability Managementは、ネットワークとアプリケーションを継続的に監視し、脆弱性を特定しながら、優先順位を付けます。豊富なインサイトから実践的な修復を導き出し、組織のリスクを大幅に軽減できるよう支援します。
ゼロデイ攻撃は予告なく発生します。今すぐデモを依頼して、Zscalerで防御力を強化してください。
よくある質問
よくある質問
いいえ、ゼロデイ攻撃は未知の脆弱性を悪用するため、完全に防ぐことはできません。ただし、ゼロトラスト アーキテクチャーを採用し、行動分析に基づく脅威検出やリアルタイムの検査などの予防的な防御を展開することで、リスクを軽減できます。これらの戦略は脅威に関する事前の知識に依存しないため、従来のシグネチャーベースのツールよりもゼロデイ エクスプロイトに対して効果的です。
ゼロデイ脆弱性のパッチ適用に要する時間は、状況によって大きく異なります。重大な欠陥の場合にはベンダーが数日以内に緊急パッチをリリースすることがありますが、緊急性の低いアップデートの場合には数週間から数か月かかるケースが少なくありません。ただし、攻撃者は脆弱性を発見するとすぐにそれを悪用する傾向があるため、対応速度は重要です。公式の修正を待つ間は、脆弱なシステムを保護するために仮想パッチや脅威軽減ツールを展開してください。
一般的なオペレーティング システム、Webブラウザー、エンタープライズ向けのソフトウェアなどの広く使用されているシステムは、攻撃者にとって価値の高い標的であるため、ゼロデイ攻撃に対して脆弱になります。また、パッチ未適用のソフトウェア、旧式のアプリケーション、防御が不十分なシステムもリスクが高まります。さらに、モノのインターネット(IoT)デバイスや産業用制御システムは堅牢なセキュリティを欠いていることが多く、ゼロデイ攻撃で簡単に悪用される可能性があります。
従来のウイルス対策ツールやファイアウォールは、ゼロデイ攻撃の検出において効果を発揮しづらい傾向があります。これは、ゼロデイ脅威が識別可能なシグネチャーのない未知の脆弱性を悪用するためです。動作ベースの監視、異常検出、インラインのトラフィック検査などの高度なソリューションは、ゼロデイ脅威に関連する異常な動作の特定に適しています。
