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製品およびソリューション

Zscaler Digital Experienceの新機能

VIKAS SRIVASTAVA, JAVIER RODRIGUEZ GONZALEZ
October 29, 2025 - 6 分で読了

トラブルシューティングを迅速化し、デジタル エクスペリエンスを向上させるZDXの新機能

ユーザー エクスペリエンスが生産性を左右する現代、IT部門には事後対応型の監視以上のものが求められています。必要なのはインテリジェンス、自動化、精度です。こうしたニーズを踏まえ、このたびZscalerはZscaler Digital Experience (ZDX)の強力な新機能を発表しました。

• ZDXネットワーク インテリジェンス — エンドツーエンドのネットワーク可視化
• Zscaler Managed Monitoring (マルチパスの可視化) —インターネット経路に関する詳細なインサイト
• デバイス スコアリングと修復 — 大規模環境におけるデバイスの正常性の監視および問題の修復

これらの機能を組み合わせることで、IT部門とネットワーク部門はこれまで以上に迅速かつプロアクティブに問題を検出、診断、解決できます。そして、業界をリードするZscalerのゼロトラスト プラットフォームで組織を保護しながら、優れたユーザー エクスペリエンスを確保できます。

ZDXのネットワーク インテリジェンスとは:エンドツーエンドの可視化によるトラブルシューティングの迅速化

Gartnerの報告によると、70%の組織がネットワークの複雑さやエンドツーエンドの可視性に関する問題を抱えており、これがデジタル エクスペリエンス管理の妨げとなっています。IDCの試算では、計画外のITダウンタイムによる損失は、世界全体で1時間あたり25万ドルに上ります。この衝撃的な数字からわかるのは、事後対応型のトラブルシューティングだけではもはや不十分であるということです。

組織において、インターネット セグメントやゼロトラスト オーバーレイを通過するトラフィックが増えるなか、従来の可視化ツールではレイテンシーやパケット損失の真の根本原因を特定できなくなっています。問題の原因がISPにあるのか中間キャリアにあるのかに関わらず、ネットワーク運用部門やサービス デスクは、パフォーマンスのボトルネックの特定にあたり大きな苦労を強いられています。

このような現状を変えるのが、ZDXのネットワーク インテリジェンスです。

Zscaler Client Connectorは5分ごとに軽量のクラウド プローブを起動し、ユーザーからアプリケーションまでの正確な経路に沿ってレイテンシー、パケット損失、ジッターなどのテレメトリーを収集します。機械学習によってこれらのメトリクスに対するベースラインが設定され、ベースラインからの逸脱には自動的にフラグが立てられるため、パフォーマンスの問題を抱えているISPやパフォーマンスが低下している理由をリアルタイムで把握できます。

自律システム番号(ASN)ごとに集約されたビューにより、トラフィック経路上の特定の中継ポイントを詳細に分析し、パフォーマンスのボトルネックに対応する地理的セグメントを特定できます。こうしたきめ細かなテレメトリーにより、より的確かつ効率的なトラブルシューティングが可能になります。

ネットワーク インテリジェンスがもたらす価値

インターネットに関する境界を越えたエンドツーエンドの可視性

現代のネットワークは組織の境界を越えて拡張しています。ネットワーク インテリジェンスは、ネットワーク運用部門が接続ISP、中間キャリア、Zscalerデータ センターを含むトラフィック経路全体を可視化し、パフォーマンスの問題の原因特定を可能にします。

図1.1 組織のネットワーク パフォーマンスを包括的に可視化するZDXのネットワーク インテリジェンス ダッシュボード
図1.1 組織のネットワーク パフォーマンスを包括的に可視化するZDXのネットワーク インテリジェンス ダッシュボード

ネットワーク インテリジェンスは、ネットワーク運用部門に対して、異常を掘り下げて問題の根本原因をより迅速に特定するためのトップ ダウン型アプローチを提供します。

各経路は重大度に応じて色分けされているため(赤は重大、黄色は軽微)、ネットワーク運用部門は問題領域を瞬時に可視化し、特定の地域を掘り下げたうえで、異常とユーザー エクスペリエンス スコアを関連付けることができます。

図1.2 ZDXのネットワーク インテリジェンスによるBGP ASのドリル ダウンと問題のある経路の特定
図1.2 ZDXのネットワーク インテリジェンスによるBGP ASのドリル ダウンと問題のある経路の特定

ISPのBGP AS (ボーダー ゲートウェイ プロトコルの自律システム)レベルから、そのASの属するホップ(ルーター)まで調査できるほか、その経路における速度の低下やレイテンシーの大幅な増加を招いているルーターやリンクを確認することもできます。

ネットワークの高度な可視化と他社の状況に関するインサイト

カスタムのアラートしきい値を設定し、ベースラインからの逸脱が発生した際に通知を受け取ります。これらのアラートによって、ISPのパフォーマンスの低下や特定地域におけるレイテンシー急増などに対し、高い精度で対処することができます。

ピア影響分析機能は、同じ異常の影響を受けている他のZscaler顧客の存在を可視化します。以下のスクリーンショットでは、問題のリンクを通過する他のZscaler顧客3社が影響を受けていることがわかります。

図1.3 影響範囲に関するインサイトの取得(影響を受けている他のZscaler顧客の有無)
図1.3 影響範囲に関するインサイトの取得(影響を受けている他のZscaler顧客の有無)

 

ISPとデータ センターの経路の最適化

パフォーマンスが最も高いISPを推測する必要はありません。ネットワーク インテリジェンスは、パケット損失やレイテンシーについてISPごとにベンチマークと比較し、分析することで、最適なルーティング経路を示します。このデータを活用して、(ZIA側の構成で)ユーザーからの接続経路をよりパフォーマンスの高いデータ センターに切り替えることができ、担当部門はシームレスなユーザー エクスペリエンスを確保できます。

図1.4 組織のネットワーク パフォーマンスを包括的に可視化するZDXのネットワーク インテリジェンス ダッシュボード
図1.4 組織のネットワーク パフォーマンスを包括的に可視化するZDXのネットワーク インテリジェンス ダッシュボード

デバイス スコアリングを活用した修復 — インサイトからアクションへ

「PCの動きが遅い」という報告から始まる堂々巡りの状況は、多くのIT部門にとってなじみ深いものでしょう。本当に対応が必要なデバイスを客観的に判断する方法はなく、終わりのないトラブルシューティングやユーザーのあいまいな説明に頭を抱えることになります。CPU負荷、メモリー負荷、ディスク レイテンシー、Wi-Fi品質、クラッシュ頻度を網羅した統合的なデバイス正常性スコアがなければ、サポートは常に事後対応的なものになり、ハードウェアの更新は推測に頼らざるを得ず、ユーザーの生産性低下を招きます。

ここで活躍するのがデバイス スコアリングです。ZDXが提供するデータ主導の機能であり、組織内のすべてのデバイスをデータに基づいて評価し、ユーザー エクスペリエンスに悪影響を与える可能性が最も高いシステムを、ヘルプデスク チケットが起票される前に明らかにします。

デバイス スコアリング:デバイスの正常性の定量化

各ノートパソコンやデスクトップは、ハードとソフトの正常性指標を組み合わせたスコアカードに基づき、ベンチマークに照らして継続的に評価されます。指標には、持続的なCPU使用率、メモリーのピーク、ディスクI/Oキュー、Wi-Fi信号強度(2.4 GHzまたは5 GHz)、バッテリーの消耗、ブルースクリーン、ソフトウェアのクラッシュなどがあります。

IT部門は苦情を待つのではなく、問題のあるデバイスを瞬時に確認し、ドライバーの更新、ディスク クリーンアップ、メモリーのアップグレードなどによって最大の原因を修正できます。

図2.1 注意が必要なユーザー デバイスの簡単なドリル ダウン
図2.1 注意が必要なユーザー デバイスの簡単なドリル ダウン

個々のデバイスの異常を検出できたとしても、仕事はまだ半分残っています。本当の課題は、検出した問題を効率良く安全かつ大規模に修正することです。

デバイスの修復:大規模な修正

これまで、L1/L2のチームのほとんどはキャッシュのクリア、サービスの再起動、設定ミスの修正などの基本的な作業を実行するためだけに、その場しのぎのツールや1回限りのリモート セッションを利用していました。このような状況を変えるのが、ZDXのデバイス修復機能です。

デバイス修復機能は、管理者が1回のクリックで数百台のデバイスに対して検証済みのスクリプトや修正を実行できるようにすることで、ラストマイルのギャップを解消します。時間のかかる手動での修復作業を、制御および監査可能でスケーラブルなワークフローに変換することが可能です。

図2.2 複数のユーザー デバイスをリモートで修復する大規模な処理の実行
図2.2 複数のユーザー デバイスをリモートで修復する大規模な処理の実行


その効果はすぐに現れます。これまでコーヒーを何杯も飲みながら20回のリモート セッションを実行する必要があった200台のデバイスの修復も、1回のクリックで完了できるようになります。

デバイス スコアリングとデバイス修復を組み合わせることで、ZDXはデバイスにパフォーマンスの問題が発生した場合にそれを検出するだけでなく、修正する機能を提供できるようになり、可視化プラットフォームから能動的なエクスペリエンス管理システムへと進化します。

Zscaler Managed Monitoringのマルチパス サポート

Zscaler Managed Monitoringは、Zscalerの世界中のデータ センターからSaaSやカスタムWebアプリケーションの可用性とパフォーマンスを継続的に追跡します。これにより、ユーザー エクスペリエンスや生産性に影響が出る前にお客様に問題を警告できます。また、Zscaler Managed Monitoringの新機能であるマルチパスの可視化によって、トラフィックがインターネット上で実際にどのように移動しているかを包括的に把握できるようになります。従来のトレースルートのように、考えられる経路の一つを示すだけでなく、負荷分散やルーティングの非対称性、ISPポリシーによって生み出されるすべての並列経路を明らかにします。これにより、隠れたボトルネックをすばやく把握し、健全な経路とそうでない経路を比較し、パフォーマンスの問題の発生源を正確に証明できます。

図3.1 ボトルネックとなっているインターネット経路の把握
図3.1 ボトルネックとなっているインターネット経路の把握

マルチパスの可視化では、IP-TTLの組み合わせに基づくトレースルート情報を経時的に集約し、統合ビュー上で視覚的に重ねて表示します。これにより、次のことが可能になります。

  • ルート フラッピングやトランジットの不安定性の検出
  • 経路やホップ間のレイテンシーや損失の比較
  • トランジットASN、ピアリング変更、経路変更の可視化

このビューを活用することで、動作の遅いSaaSアプリのデバッグやクラウド経路の検証などにあたり、生のトレースルート ログでは把握しにくい部分を明確化することが可能です。

マルチパスの可視化は、送信元と宛先間でトラフィックが通過する可能性のあるすべてのネットワーク経路を表示します。複数の経路を同時にキャプチャーすることで、ルーティングの非対称性、負荷分散、ISPレベルの問題を特定できます。

エクスペリエンス管理の未来

ZDXは、Zscalerのお客様のために業界で最も包括的なデジタル エクスペリエンス モニタリング ソリューションとして進化し続けています。ネットワーク インテリジェンス、マルチパスの可視化、デバイス スコアリングと修復により、次のことが可能になります。

  • システムやソフトウェアのクラッシュ、インターネット規模のネットワーク異常などの広範囲にわたるデバイス イベントを検出

  • AIを活用した根本原因分析により、接続ISPや中間ISPの問題を含むエンド ユーザーのパフォーマンス問題を大規模に診断

  • 組織全体のデバイスの問題をリモートで修復しながら、エンドツーエンドのユーザー エクスペリエンスに影響を与える永続的なインターネットの問題に対処

Zscalerは、あらゆる場所のすべてのユーザーに高速で信頼性が高く快適なデジタル エクスペリエンスを提供することをミッションにしており、これらのイノベーションはその達成を後押しするものです。

これらの機能の詳細は、インタラクティブな製品ツアーでご確認ください。

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