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DLPとは?情報漏洩を防ぐ仕組みや機能、導入メリットなどを解説

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近年、クラウドの普及やテレワークの浸透により、企業の情報資産は社外にも広がりつつあります。こうした状況下で注目されているのが、機密情報の漏洩を未然に防ぐDLP (Data Loss Prevention)です。

本記事では、DLPの基本から仕組み、機能、導入メリットまで、ビジネス パーソンが押さえておくべきポイントをわかりやすく解説します。

DLPとは

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DLPは、組織内の重要情報や機密データが、意図せぬ形で社外に漏洩、流出することを防ぐためのセキュリティ ソリューションです。

メールやWeb経由での送信、USBなどの外部媒体への保存、印刷やスクリーンショットなどを通じた情報漏洩をリアルタイムで監視、制御し、必要に応じて遮断や警告を行う仕組みを備えています。最新のDLPの場合、生成AIへのプロンプトにも対応し、社内データがパブリックAIに学習されることを防ぎます。

また、DLPとアウトオブバンドCASBを連携させることで、Web経由で送信されるデータだけでなく、SaaSデータをAPI経由で定期的にチェックすることが可能です。

DLPの種類

DLPには、導入形態や利用環境に応じて主に次の2種類があります。

【DLPの種類】

  • オンプレミス型
  • クラウド型

それぞれの特徴について詳しく見ていきましょう。

オンプレミス型

オンプレミス型DLPは、自社のネットワークやサーバー環境に直接導入して運用するタイプです。以下のような特徴があります。

【オンプレミス型DLPの特徴】

  • 社内のネットワークや端末に対して強力な制御が可能
  • きめ細かなカスタマイズができる
  • セキュリティ ポリシーの厳格な運用がしやすい
  • 導入、保守、管理に人的および金銭的なコストがかかる
  • リモート環境やクラウドへの対応には限界がある

情報の一元管理やセキュリティ要件が厳しい大企業、金融機関などでは、オンプレミス型が選ばれるケースもあります。

クラウド型

クラウド型DLPは、インターネット経由で提供されるDLP機能を活用するものです。SaaS型DLPとも呼ばれます。

【クラウド型DLPの特徴】

  • 社外からのアクセス、SaaS利用時のデータ流出にも対応
  • ソフトウェアのインストールが不要で導入が容易
  • バージョン管理やメンテナンスが不要
  • スモール スタートやスケーラブルな運用が可能
  • 社外環境で情報を利用するモバイルワーク環境との親和性が高い

クラウドDLPは場所やネットワークに依存せずデータを保護できるため、境界に頼らないゼロトラスト モデルと相性が良く、注目されています。

DLPが注目されている背景

クラウド サービスやリモートワークの普及により、企業の情報は社外にも広がり、従来の境界型セキュリティでは守りきれなくなっています。加えて、誤送信や内部不正といった人的リスクも顕在化しています。現在、情報漏洩の原因の多くは内部にあるとされており、データそのものを保護するDLPの重要性が高まっています。

法令順守の観点でも、個人情報保護法やGDPRなどへの対応が求められるため、企業はより高度な情報管理体制を構築する必要に迫られています。

DLPでデータを判別して監視する仕組み

DLPは、情報の内容や送信先、利用状況などを多角的に分析し、重要なデータが本来の利用範囲を逸脱して持ち出される、または共有される兆候を検知して制御します。

ファイルに含まれる個人情報や機密ワードを検出する「コンテンツ分析」、送信先や操作内容から状況を判断する「コンテキスト分析」、印刷、画面コピー、USB保存といった動きを追跡する「動作監視」などがあり、情報漏洩のリスクをリアルタイムで可視化し、必要に応じて自動的にデータのやり取りを停止したり、ユーザーに警告を出したりします。

DLPの主な機能

DLPには、ユーザーによる意図的または偶発的なデータ漏洩など、業務上のリスクに対応する中核的な機能が備わっています。

【DLPの主な機能】

  • コンテンツ監視
  • デバイス制御
  • 印刷/コピー制限
  • Webサイトへのアクセス制限
  • メール セキュリティ

順に解説していきます。

コンテンツ監視

ファイルやメールの内容に対し、特定のキーワードや機密情報が含まれていないかを自動的にスキャンします。

たとえば、個人情報やクレジットカード番号、特定の社内文書名などに一致する情報を検出し、送信や保存の際に警告したり、ブロックしたりできます。コンテンツに基づく判断を行うことで、業務上の柔軟性を保ちながらも高いレベルのセキュリティを維持できます。

デバイス制御

USBメモリや外付けハードディスクといった外部デバイスへのデータ保存を制限する機能です。

データの持ち出し、紛失、盗難による情報漏洩リスクを低減できます。持ち出しが必要な場合でも、デバイス単位での使用制限やログ取得、暗号化の強制など細かい設定が可能なため、業務効率とセキュリティを両立する運用が可能です。

印刷/コピー制限

文書の印刷やスクリーンショット、テキストのコピー/ペーストといった操作を制限し、機密情報の拡散を防ぐ機能です。

特に重要な資料や個人情報が含まれる画面に対しては、印刷ボタンの無効化やクリップボードの監視を行うことで、情報の不正な複製を防止できます。セキュリティ ポリシーに応じて、利用可能な範囲を柔軟にコントロールできます。

Webサイトへの制限

業務に不要なWebサイトやファイル共有サービスへのアクセスを制限することで、外部への情報流出を未然に防ぐ機能です。

たとえば、個人のクラウド ストレージやSNSへのアップロード操作をブロックしたり、外部チャット ツールやChatGPTなどのパブリック生成AIでのファイル送信を制御したりできます。情報の出口を制限することは、従業員の誤操作や内部不正への強力な抑止力になります。

メール セキュリティ

DLPはメールの宛先や添付ファイル、本文の内容までを解析し、意図せぬ情報送信を防ぐ仕組みを提供します。

たとえば、特定のキーワードが含まれるメールに対しては、自動的に上長の承認を求めたり、外部の宛先への送信を一時保留したりすることが可能です。

DLPと従来のIT資産管理ツールによる情報漏洩防止の違い

従来のIT資産管理ツールは、どの端末にどのソフトが入っているか、誰がいつ操作したかといった「機器や操作の管理」に重きを置いています。

一方で、DLPは「情報そのもの」を守ることを目的としており、ファイルの中身や送信先、利用状況に応じて動的な制御を行います。

DLPを導入するメリット

DLPは、単に情報漏洩を防ぐだけでなく、業務の安全性向上や効率化にも貢献します。主なメリットとして、以下の3点が挙げられます。

【DLPを導入するメリット】

  • データ分類の自動化による管理負荷の軽減できる
  • データへのアクセスや使用状況を監視できる
  • 組織内のデータ活用状況を可視化できる

順に解説します。

データ分類の自動化による管理負荷の軽減

従来、ファイルの重要度や機密レベルは、管理者や従業員が手動で分類する必要がありました。

しかしDLPを導入すれば、あらかじめ設定したルールやAIの分析結果に基づく分類機能によって、保護対象のファイルを自動で識別できます。これによって、人手による分類ミスのリスクを減らすとともに、セキュリティ部門の運用負荷を大きく軽減できます。

データへのアクセスや使用状況の監視

DLPは、誰が、どのデータに、いつ、どこから、どのような操作を行ったのかを記録し、異常な動きを即座に検知します。

たとえば、深夜に大量のファイルが外部へ転送された、USB経由で持ち出されたといった行為に対してアラートを出し、即座に対応することができます。監視とログ取得を自動化することで、不正行為の抑止や内部統制の強化にもつながります。

組織内のデータ活用状況の可視化

DLPを使うことで、どの部署がどのようなデータを扱い、誰と共有しているかなど、情報の利用状況ややり取りの経路を可視化できます。

たとえば、一部の部門で個人情報が頻繁に外部に共有されている、あるいは業務上不要なデータが多く保管されているといった課題も把握できるようになります。これは、データ活用の効率化、業務フローの見直し、コンプライアンス強化にも役立ちます。

DLP導入時の注意点

DLPは強力なセキュリティ ツールですが、導入にあたってはいくつかの注意点があります。特に、以下の3点は事前に確認しておく必要があります。

【DLPを導入する場合の注意点】

  • 導入費用
  • 必要なスペック
  • サポートの有無

順に解説します。

導入費用

DLPは高度な仕組みを持つ分、一定の初期費用とランニング コストがかかります。特にオンプレミス型では、ソフトウェアの費用だけでなくサーバーの構築や運用人員の確保などが必要になり、全体としての導入コストが高くなる傾向にあります。

クラウド型を選んだ場合も、従量課金や拡張オプションなどが発生するケースもあるため、費用対効果を見積もったうえで導入を検討することが大切です。

必要なスペック

DLPには多くの機能がありますが、すべてを一律に使えばよいわけではありません。業種、業務内容、社内ポリシーによって、必要な監視レベルや制御範囲は大きく異なるため、自社の実態に合ったスペック選定が大切になります。

たとえば、製造業と金融業では守るべき情報や脅威の性質が異なるため、必要な機能も変わります。導入前の要件整理が重要です。

サポートの有無

DLP製品は導入して終わりではなく、運用後のチューニングやトラブル対応が重要になります。しかし、ベンダーによってはサポート範囲が限定的で、十分な技術支援を受けられない場合もあります。

製品選定の際は、サポート窓口の有無や対応スピード、導入後の設定変更支援なども含めて確認する必要があります。特に、初めてDLPを導入する企業の場合は、導入後の伴走支援も行っているベンダーが望ましいでしょう。

まとめ

DLPは、データを細かく追跡および制御することで、不注意による誤送信や内部不正による情報持ち出しなど、従来対策が難しかったリスクにも対応します。デジタル化とクラウド活用が進む時代において、企業の情報資産を守るために欠かせない存在となっています。

導入にはコストや運用面の準備が必要ですが、企業の信頼や競争力を守るうえで投資に値するセキュリティ ツールといえます。

Zscaler DLPで情報漏洩対策を

Zscaler DLPは、100%クラウド型のDLPソリューションとして、ユーザーやアプリの場所を問わず一貫したデータ保護を実現します。

SaaS、IaaS、メール、インターネット、プライベート アプリ、エンドポイント、さらにAIアプリのプロンプトに至るまで、幅広い通信経路でデータを可視化、制御します。また、TLS/SSL通信も復号して検査可能です。
機械学習を活用した高度なデータ識別機能によって、複雑な設定を不要にし、運用を簡素化しながら、精度の高い漏洩対策を実現します。

Zscaler DLPの効果をぜひデモでご体感ください。

 

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