Zscalerのブログ
Zscalerの最新ブログ情報を受信
ZTNAとは何か?VPNとの違いや実現するメリットなどを紹介
クラウド サービスやリモート ワークの普及により、従来の「社内ネットワーク=安全」という前提はもはや通用しません。こうした背景から、境界型セキュリティを前提とするVPNだけでは十分な保護を提供できないケースが増えています。
こうした課題を解決する仕組みが ZTNA (Zero Trust Network Access)です。本記事では、ZTNAの基本からVPNとの違い、導入が求められる背景、メリットまでをわかりやすく解説します。
ZTNA (Zero Trust Network Access)とは

ZTNAとは、あらゆるアクセスを「まずは信頼しない」ものとして、ユーザーやデバイスを継続的に検証、認証するセキュリティ フレームワークです。ここでいう「信頼しない」とは、アクセスごとに許可の可否を判断することであり、VPNのように一度接続すれば内部ネットワーク全体を信頼する状態とは異なります。
ZTNAの考え方は、もともとCSA (Cloud Security Alliance)が提唱したSDP (Software-Defined Perimeter)の概念を引き継いでいます。ブローカー型SDPではアクセスごとに認証を行う仕組みがあり、これが発展してZTNAとなりました。さらに、NIST SP800-207で示されたゼロトラスト アーキテクチャー(ZTA)の理念にも沿って設計されており、VPNが提供する境界型アクセスとは明確に異なります。GartnerもZTNAをSSE (Secure Service Edge)の要素として定義しており、SWGやCASBとあわせて現代のゼロトラスト型アクセス制御の一翼を担う存在として位置付けています。
一度接続すれば自由に動けてしまうVPNとは異なり、ZTNAはアプリケーション単位でアクセスを制御し、フィッシングやマルウェア、内部誤操作など、ユーザーが気づかない間に発生する脅威も防ぐことができます。
ZTNAの主な特徴は以下のとおりです。
【ZTNAの主な特徴】
ユーザーとデバイスを常時評価
セッション中もユーザーや端末の状態を確認し、ポリシー違反があればアクセスを制限します。
リソースごとの細かいアクセス制御
アプリケーションやクラウド サービス単位で、必要最小限のアクセス権を付与します。
一貫したポリシー適用
オフィスでもリモートでも、場所に依存せず統一されたセキュリティ ルールを適用可能です。
VPN (Virtual Private Network)との違いは?
ZTNAは社内外のアクセスに適用できますが、特にリモート アクセスにおいてVPNの置き換えとして導入されることが多くなっています。従来のVPNは、接続後に広範な権限が付与されるため、攻撃対象領域が広く、ラテラル ムーブメントによる被害拡大のリスクが高いことが課題です。実際、2024年の警察庁の発表によれば、法人組織に対する侵入経路の約47%がVPN機器を経由していることが報告されています。
ZTNAはアクセスごとにユーザーやデバイスを検証し、アプリケーション単位で最小権限を付与するため、こうしたリスクを抑えつつ安全なリモートアクセスを実現できます。
主な違いは以下のとおりです。
| VPN | ZTNA | |
|---|---|---|
| アクセス範囲 | 接続後は社内ネットワーク全体に広範なアクセス権が付与される場合が多い | アプリケーションやリソース単位で最小権限のみを付与。必要なものにのみアクセス可能 |
| 通信経路 | 通常はオンプレのデータセンター経由で通信するため、クラウド サービス利用時に遠回りになることがある | ユーザーとアプリケーション間で最適ルートを確立。クラウド中心でもオンプレ ブローカー型でも対応可能 |
| セキュリティ | 脆弱性があるVPN機器や認証情報が悪用されると、ネットワーク内部全体に被害が拡大するリスクがある(例:ラテラルムーブメントによるマルウェア拡散) | アクセスごとにユーザー、デバイスを検証し、都度権限を制御するため、内部不正やマルウェアの拡散リスクを局所化できる |
| 運用負荷 | 拠点ごとの機器管理や設定が必要で、運用が煩雑になりがち | クラウド中心で一元管理が可能。オンプレ ブローカー型も柔軟に対応 |
| ユーザー エクスペリエンス | 通信経路が長くなり、遅延や帯域圧迫が起きやすい | アプリケーション単位での直接接続により、高速かつ安定した利用を実現可能(クラウドサービス利用時も快適) |
ZTNAが注目される背景

ZTNAが注目される背景は以下のとおりです。
【ZTNAが注目される背景】
- リモート ワークなど多様な働き方の増加
- VPN利用時の通信経路の非効率性
- VPNを狙ったサイバー攻撃の増加
以下、順に解説します。
リモート ワークなど多様な働き方の増加
リモート ワークが日常化したことで、多くの企業では社外からのアクセスが増加しています。従来の境界型セキュリティ、たとえばVPN中心の設計では、業務がオフィス内で行われることを前提にしており、在宅や外出先からのアクセス時にアプリケーションやデバイスの状態を細かく確認することが難しい場合があります。これにより、フィッシングによる認証情報の盗用や、マルウェア感染による内部ネットワークでの横展開(ラテラルムーブメント)のリスクが高まります。
これに対してZTNAは、接続場所に関係なく、アプリケーションやリソースごとにユーザーやデバイスの状態を都度検証し、必要最小限の権限だけを付与します。たとえ不正アクセスやマルウェアの侵入があっても、リスクを局所化して被害を最小限に抑えられるため、多様な働き方を支える安全性の高いセキュリティ基盤として機能します。
VPN利用時の通信経路の非効率性
VPNでは、ユーザーの通信はまずオンプレ データセンターに集約されます。その後、クラウドやSaaSに転送されるため、遠回りな経路による通信遅延や、ゲートウェイに全トラフィックが集中することで帯域圧迫が起きやすくなります。また、クラウドやSaaSへの接続ではDirectConnectやExpressRouteのような専用回線が必要になる場合もあります。
一方、ZTNAでは以下のようなメリットがあります:
- 拠点からのアクセス:ブランチ オフィスではローカルブレイクアウトを利用し、クラウドやSaaSに直接接続可能
- 在宅ユーザー:自宅から直接インターネットにアクセスし、必要なリソースに最短で接続
- ブローカーの配置:ZTNAのブローカーがホスティングされるデータセンターは、IXやハイパースケーラーのDCと同場所にあることが多く、経路が最小化される
- 専用回線不要:最適な経路が確保されるため、DirectConnectやExpressRouteのような専用回線も基本的には不要
この仕組みにより、ZTNAはVPNと比べて、より高速で安定した接続を実現しつつ、運用コストも削減できます。
VPNを狙ったサイバー攻撃の増加
近年、VPNアプライアンスの脆弱性を突いた攻撃が世界的に増加しています。ゼロデイの発見やパッチ適用の遅れを狙った攻撃に加え、盗まれた認証情報を利用した不正アクセスも後を絶ちません。特にVPNは、外部から通信を受けるためにグローバルIPを公開する必要があり、その入口自体が攻撃対象領域になります。そのため、スキャンやDDoS、脆弱性攻撃の標的になりやすいのです。
一方、ZTNAは仕組みが異なります。アプリやリソースはインターネットに直接さらされず、ユーザー側から安全なトンネルを張ってクラウド上のブローカーに接続します。つまり、外部からは入口が見えない構造になっており、攻撃対象領域を大幅に減らすことができます。さらに、アプリケーション単位の最小権限や継続的な検証により、仮に侵入されてもリスクを局所化できます。
ZTNAを実現するメリット
ZTNAを導入するメリットは以下のとおりです。
- セキュリティ ポリシーの一元管理が可能
- 最小権限と継続的検証による強固なセキュリティの実現
- 最適ルートによる快適な通信
セキュリティ ポリシーの一元管理が可能
ZTNAでは、セキュリティ ポリシーをクラウド上で集中管理できます。従来のVPNのように拠点ごとに機器を設定したり、ユーザー単位で細かな調整を繰り返す必要はありません。すべてのユーザーやデバイスに統一したルールを適用できるため、設定ミスや管理の手間を大幅に減らせます。
さらに、この仕組みはNISTが定義するゼロトラストの原則に基づいており、組織全体で一貫性のあるセキュリティと運用効率を両立することができます。
最小権限と継続的検証による強固なセキュリティの実現
ZTNAは「最小特権の原則」に基づき、ユーザーには必要最小限のアクセス権だけを与えます。たとえば、営業担当者は営業システムにだけアクセスでき、他の社内システムには入れないように制御されます。
さらに、認証は一度で終わりません。最初の認証に成功した後でも、継続的にユーザーやデバイスを確認し、必要に応じてアクセス制御を行います。これにより、従業員による不正利用や、マルウェアが社内で横に広がる「ラテラル ムーブメント」といったリスクを効果的に防止できます。
最適ルートによる快適な通信

ZTNAではグローバルに分散したクラウド基盤を活用し、ユーザーの場所に応じて最適な経路を自動的に選択します。従来のVPNのように一度データセンターに集中させる必要がないため、迂回による遅延や帯域の逼迫を回避できます。その結果、ビデオ会議やクラウド アプリケーションをストレスなく利用でき、快適なユーザー体験と業務効率の向上につながります。
まとめ
従来のVPNは、拠点間接続でもリモート アクセスでも、インターネット上でパブリックIPを公開する設計のため攻撃対象領域を広げやすく、接続後にはネットワーク全体に広い権限が与えられることでラテラル ムーブメントを許してしまうリスクを抱えています。さらに、ユーザーの通信を一度データセンターに集約してから外部サービスへ転送する仕組みのため、ヘアピンによる迂回経路や帯域集中による通信遅延も発生しやすいのが実情です。
ZTNAはゼロトラストの原則に基づき以下のことを実現し、VPNの構造的な課題を解消します。
- 攻撃対象領域の最小化:公開IPを不要化し、ブローカー経由で限定的に通信
- ラテラル ムーブメントの排除:アプリケーション単位の最小権限アクセス
- 通信経路の最適化:ローカル ブレイクアウトやクラウド経由の直結
実際、多くの企業はまずVPNの置き換えとしてリモートアクセス向けにZTNAを導入し、安全性と利便性を両立させています。その後、オンプレ資産や拠点間通信にも適用範囲を広げることで、全社的なゼロトラスト基盤へと発展させるのが効果的です。
Zscaler Zero Trust Exchange
Zscaler Zero Trust Exchangeは、NIST SP 800-207で定義されるゼロトラスト アーキテクチャー(ZTA)の原則に基づき、クラウドネイティブに設計されたプラットフォームです。ユーザー、デバイス、アプリケーション、クラウド サービス、ワークロード、拠点、外部パートナーなど、多様なエンティティー間の通信を安全に仲介し、すべてのアクセスを検証、制御します。
このプラットフォームは、従来の境界型セキュリティに依存することなく、「すべてのリソースへのアクセスは信頼を前提とせず、明示的に検証、認可される」というゼロトラストの考え方を組織全体のITエコシステムに適用します。
基本はクラウドサービスとして提供されますが、要件に応じてオンプレミスに設置可能なPrivate Service Edgeにより、ローカル環境でのブローカー機能も実現できます。

主な特長は以下のとおりです。
【Zero Trust Exchangeの特長】
攻撃対象領域の最小化
アプリケーションをインターネットに直接公開せず、Zero Trust Exchangeを介してのみアクセス可能にすることで、パブリックIPをさらす必要がなくなります。これにより、アプリケーションは外部からスキャンや攻撃の対象として見えなくなり、攻撃対象領域を大幅に削減できます。
侵害の阻止
Zero Trust Exchangeは、TLS/SSLで暗号化された通信を含め、復号可能なトラフィックをインラインで検査します。高度な脅威検出エンジンとポリシー適用により、マルウェアや不審な振る舞いを高精度に識別し、リスクのある通信は即座に遮断します。復号が困難な通信についても、メタデータや接続先情報を活用してリスク評価を行い、侵入を未然に防ぎます。
ラテラル ムーブメントの防止
ユーザーやデバイスをネットワークそのものに直接参加させず、アプリケーション単位で安全に接続します。これにより、万一侵入が発生しても攻撃者がネットワーク内部を自由に移動することを防ぎ、被害の拡大を最小化します。
情報漏洩の防止
SaaSやクラウド サービス、端末上での操作を含め、データのやり取りを常に監視、制御します。コピーやアップロード、外部共有などの行為をポリシーに基づいて制御することで、意図的または偶発的な情報漏洩を防ぎます。さらに、AIを活用したデータ分類により、機密情報を自動で識別し、運用者の負荷を軽減しながら確実に保護します。
ユーザー エクスペリエンスの向上
ユーザーは業務に必要なアプリケーションへ場所やデバイスを問わず、同じ操作でシームレスにアクセスできます。VPNのようにクライアントを立ち上げて社内ネットワークへ接続するといった煩雑な手順は不要です。さらに、ゼロトラストの仕組みにより継続的な認証や検証がバックグラウンドで行われるため、セキュリティを犠牲にすることなく利便性を維持できます。
IT運用の簡素化とコスト削減
Zero Trust Exchangeは、ZTNA、SWG、CASB、FWaaSなど複数のセキュリティ機能を1つのクラウド基盤に統合します。これにより、従来のように拠点ごとにセキュリティ機器を設置、更新したり、個別にパッチを適用したりする必要がなくなります。
Zscaler Zero Trust Exchangeは、ゼロトラストを単なる理想に終わらせず、現実的かつ段階的に実装することを可能にします。セキュリティの強化と運用の効率化を目指す企業にとって、今後のIT基盤を支える重要な存在となるでしょう。
Zscaler Zero Trust Exchangeの詳細にご興味のある方は、ぜひ、Zscalerにお問い合わせ、またはデモを依頼するまでご連絡ください。
このブログは役に立ちましたか?
免責事項:このブログは、Zscalerが情報提供のみを目的として作成したものであり、「現状のまま」提供されています。記載された内容の正確性、完全性、信頼性については一切保証されません。Zscalerは、ブログ内の情報の誤りや欠如、またはその情報に基づいて行われるいかなる行為に関して一切の責任を負いません。また、ブログ内でリンクされているサードパーティーのWebサイトおよびリソースは、利便性のみを目的として提供されており、その内容や運用についても一切の責任を負いません。すべての内容は予告なく変更される場合があります。このブログにアクセスすることで、これらの条件に同意し、情報の確認および使用は自己責任で行うことを理解したものとみなされます。


