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侵入防止システム(IPS)とは
侵入防止システム(IPS)は、悪意のある活動がコンピューター ネットワークに影響を及ぼす前に検知して分析し、ブロックする予防的なセキュリティ ツールです。ネットワーク トラフィックを継続的に監視することで、脅威対策を強化し、不審な動きを抑制するとともに、重要なポイントを保護してデータ侵害を軽減します。
要旨
侵入防止システムは現代のサイバーセキュリティにおいて重要な役割を果たしており、進化する脅威からネットワークを予防的に保護し、事業継続性を確保します。この記事では、IPSの定義とその仕組み、そして堅牢かつリアルタイムの保護を求める組織にとってIPSが不可欠な理由について解説します。
- IPSとは何ですか?従来の検知ツールとどう違うのですか?
IPSは脅威を自動的にブロックしますが、従来のツールは不審な活動を警告するだけで、攻撃を積極的に阻止することはありません。
- IPSはどのようにネットワーク環境内の悪意のある活動の検知、防止、対応を行いますか?
IPSはシグネチャーや振る舞いを基に脅威を特定し、攻撃をリアルタイムでブロックまたは封じ込めることで被害を防止します。
- IPSにはどのような種類がありますか?どのソリューションが組織のニーズに最も適していますか?
ネットワーク型、ホスト型、クラウド型のIPSがあり、組織の環境や規模、セキュリティ要件に応じて適したものを選択する必要があります。
- 包括的でスケーラブルなセキュリティを確保するうえで、クラウドベースのIPSの重要性が高まっているのはなぜですか?
クラウドIPSは、拡張性と適応性を提供し、分散したリソースを保護することで、リモート ワークや進化するハイブリッド インフラをサポートします。
侵入防止システム(IPS)の仕組み
IPSはネットワーク内の戦略的要所で動作し、絶え間なく流れるデータをスキャンすることで、不審な活動を検知します。シグネチャーと異常ベースの検知手法により、通常とは異なる動きを特定します。悪意のある活動を検知すると、即座にパケット フィルタリングなどの制御を行い、インフラへの侵入を未然に阻止します。
通常、IPSはネットワーク経路にインラインで配置され、不要なトラフィックをリアルタイムでブロックします。IPSは単なる検出機能に留まらず、脅威が侵入する初期段階で即座に無力化する、積極的な防御を重視しています。こうしたIPSの機能を、拡張型の検知と対応(XDR)や検知と対応のマネージド サービス(MDR)、セキュリティ情報とイベント管理(SIEM)などの最新のセキュリティ フレームワークに統合することで、脅威を早期かつ包括的に封じ込める仕組みが強化されます。
侵入防止システムはネットワーク トラフィックを継続的に監視し、帯域幅を圧迫させる可能性のある有害なデータを除外することでパフォーマンスを維持します。その予防的な性質により、日々の業務を中断することなく全体的なセキュリティ態勢を強化できます。また、IPSはサイバー脅威に瞬時に対応することで、ネットワーク防御を強化し、他のセキュリティ ソリューションとシームレスに連携しながら、進化する脅威から組織を保護します。
サイバーセキュリティにおいて侵入防止システム(IPS)が重要な理由
適切に実装されたIPSは、他のセキュリティ ツールと連携し、攻撃が深刻化する前に阻止します。現代の組織にIPSが求められる理由として、以下が挙げられます。
- 予防的な脅威対策:潜在的な侵入を単に記録するのではなく、その場で阻止します。
- データ侵害のリスク軽減:機密情報を攻撃者の手に渡さないようにします。
- コンプライアンスと信頼:効果的なセキュリティ対策を導入することで、お客様、パートナー、規制当局との信頼を構築します。
- ネットワークの信頼性向上:攻撃者によるネットワークの可用性低下を防ぎ、生産性と組織の評判を維持します。
侵入防止システム(IPS)の種類
IPSソリューションにおけるニーズは、組織によって大きく異なります。さまざまな環境や攻撃ベクトルに対応する代表的な4つの種類を紹介します。
- ネットワークベースのIPS:重要なネットワーク セグメントに配置され、トラフィック フローを監視し、大規模な侵入を防止します。
- ホストベースのIPS:個々のデバイスやサーバーに展開され、オペレーティング システムと重要なアプリケーションの保護に特化しています。
- ワイヤレスIPS:ワイヤレス ネットワークを対象に、不正なアクセス ポイントや悪意のあるWi-Fi接続を検知します。
- ネットワークの行動分析:正常な動作パターンを監視し、それから逸脱した振る舞いを検知して、潜在的な攻撃や進行中の攻撃を警告します。
- クラウドIPS:クラウド インフラ内に展開され、仮想ネットワーク トラフィックを監視し、クラウドベースのアプリケーションやデータを不正アクセスや攻撃から保護します。
侵入防止システム(IPS)を使用するメリット
IPSを防御戦略に取り入れることで、さまざまなメリットを得られます。以下のようなメリットを通じて、IPSは安全かつスムーズな環境を維持します。
- ネットワーク パフォーマンスの向上:悪意のあるパケットをフィルタリングすることで、インフラにかかる負担を軽減します。
- リアルタイムのインライン セキュリティ:脅威がネットワーク トラフィックで発生した瞬間に特定してブロックします。
- インシデント対応コストの削減:脅威を早期に阻止することで、その後の修復や復旧にかかる費用を削減できます。
- 可視性の向上:包括的な監視により、進化する攻撃や不審な活動パターンに関する洞察を得られます。
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侵入防止システム(IPS)と侵入検知システム(IDS)の違い
IPSとIDSはどちらもネットワークへの侵入防御において極めて重要な役割を果たすため、頻繁に比較されます。以下は、主な違いを説明した簡単な表です。
クラウドベースのIPSが必要な理由
ローカルに展開されたIPSは特定のセグメントを保護するのに適していますが、クラウドベースのIPSはさらに多くのメリットを提供します。クラウド ソリューションは拡張性や迅速なアップデート、ネットワークの拡大に対応できる柔軟性を提供し、さまざまなソースからの脅威を確実に阻止します。
また、クラウドベースのIPSは最新のセキュリティ ツールとシームレスに統合し、環境の変化にも柔軟に対応する保護を提供します。組織が多様化するコンピューター ネットワークに展開を拡大する際も、クラウドベースの保護により、管理を複雑にすることなく継続的な保護が確保されます。このような適応性は、進化するサイバー脅威や新たな脆弱性に備える組織に不可欠です。
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Zscaler Cloud IPSは常に稼働するスケーラブルな保護を提供することで、侵入防止を再定義します。高度なサイバー脅威がネットワークに到達する前に阻止し、ユーザーがどこにいてもセキュリティをシームレスに拡張します。Zero Trust Exchange™が提供する優れた可視性とパフォーマンスにより、現代の動的な脅威環境において脅威の検知と対応を簡素化し、より広範なセキュリティ スタックと簡単に統合できます。Zscaler Cloud IPSが防御を強化する仕組みは以下のとおりです。
- 無制限の検査容量:世界中の160以上の拠点からの無制限の帯域幅とパフォーマンスにより、すべてのユーザーと接続に対して完全な可視性と保護を維持します。
- よりスマートなリアルタイムの脅威インテリジェンス:1日あたり数千億件のトランザクションから得られるインサイトを活用し、検知を迅速化するとともに、誤検知を削減します。
- 包括的なTLS/SSLインスペクション:速度や検査範囲を維持したまま、暗号化されたトラフィック内に潜む脅威を検知してブロックします。
- ユーザーに負担をかけないシームレスな更新:自動更新と最新のシグネチャーにより、新たな攻撃への対応力が向上するだけでなく、変更管理による停止も発生しません。
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よくある質問
はい、IPSはファイアウォールやウイルス対策ソリューションと連携します。ネットワーク トラフィックを検査し、従来の境界型セキュリティやエンドポイント対策では見逃される脅威を検知するため、セキュリティがさらに強化されます。
IPSは行動分析や異常検知によって不審な活動を特定することで、シグネチャーベースの検知方法を補完します。これにより、公式のシグネチャーが利用可能になる前にゼロデイ エクスプロイトや新たな攻撃手法を特定できます。
IPSはネットワーク トラフィックを能動的に分析するため、遅延が発生したり、追加の処理リソースが必要になったりする場合があります。最新のソリューションは、最適化されたハードウェアとスケーラブルなアーキテクチャーを採用し、堅牢な保護を維持しながら速度低下を最小限に抑えています。
はい。IPSは攻撃の試みの記録、不正アクセスのブロック、そしてPCI DSS、HIPAA、GDPRなどの基準に基づくレポートの作成を通じて、監査準備や規制順守をサポートします。
ファイアウォールは、静的なパターンマッチングベースのルールに基づき、ネットワーク トラフィックを許可またはブロックすることでアクセスを制御します。一方、IPSは、行動分析、異常検知、プロトコル分析を予防的に実行し、脅威を自動的に特定してブロックすることで、ネットワーク攻撃が被害を及ぼす前に防止します。
はい、クラウドベースのIPSは、場所を問わずトラフィックを監視し、脅威をリアルタイムでブロックし、多様で分散したネットワークを保護するために簡単に拡張することで、リモート ワーカーを保護します。そのため、現代のハイブリッド リモート ワーク環境において欠かせません。


