Zscalerのブログ

Zscalerの最新ブログ情報を受信

製品およびソリューション

セキュリティ初心者でもわかるWebセキュリティの基本知識と対策

image

Webを通じた攻撃は日々進化しており、ファイアウォールやアンチウイルス ソフトなどだけでは十分に防げない時代になりました。特に近年はフィッシング詐欺のように人間心理を巧みに突いた攻撃も増加しています。サイバー攻撃による被害は、金銭的なものだけに留まらず、法的なリスク、組織に対する信頼低下など、広い範囲に及ぶ可能性もあります。

Webセキュリティは、もはや専門部署だけが取り組めばよいものではなく、ビジネスパーソンが日常業務を遂行するうえで不可欠なリテラシーとなっています。本記事では、代表的なサイバー攻撃の手法から具体的な対策までを体系的に整理し、Webセキュリティに関する基本的な情報をわかりやすく解説します。


 

Webセキュリティとは

Image

Webセキュリティとは、インターネットを通じて提供されるアプリケーションやサービスを、サイバー攻撃や不正な利用から守るための仕組みと対策の総称です。

Webサイトやクラウド サービスは、業務に欠かせない存在であると同時に、攻撃者にとっては格好の標的です。近年では攻撃が高度化し、単なる不正アクセスにとどまらず、認証情報の窃取やフィッシング サイトへの誘導など、多様な脅威への対応が必要になっています。


 

Webセキュリティが重要な理由

インターネット上の脅威はさまざまなリスクをもたらします。実際に攻撃を受けた場合には、以下のような深刻な影響が発生するため、強力なWebセキュリティを確保することが重要です。

業務の停止や売上の損失

サイバー攻撃によってシステムの停止や情報漏洩が発生すれば、業務が停滞または停止するだけでなく、場合によっては取引先から契約を解除されるなど、ビジネス全体に重大な影響を及ぼします。特にECサイトや金融機関の場合、数時間システムが停止するだけでも大きな売上の損失につながります。

個人情報の漏洩

顧客の氏名やクレジットカード情報が漏洩すれば、損害賠償を請求されたり、訴訟を受けたりするリスクがあります。規制による制裁を受ける可能性もあるほか、漏洩した情報がフィッシング詐欺などに悪用されることで、二次的な被害につながることもあり、単なるコンプライアンス上の問題にとどまらない大きな影響をもたらします。

信用失墜と顧客離れ

セキュリティ インシデントの発生は、直接被害を受けていない利用者に対しても大きな不安を与えます。一度失った信頼を取り戻すには長い時間がかかり、顧客離れやブランド イメージの低下にもつながります。


 

 代表的なWebアプリ攻撃

Image

代表的なWebアプリ攻撃の手法には以下のようなものがあります。

  • SQLインジェクション
  • クロスサイト スクリプティング (XSS)
  • クロスサイト リクエスト フォージェリー(CSRF)
  • DDoS攻撃
  • フィッシングやマルウェア拡散

それぞれについて、順に解説していきます。

SQLインジェクション

Webアプリケーションの入力フォームなどを通じて、データベースを不正に操作する攻撃です。Webサイトの裏側にあるデータベースを扱うための言語である「SQL (Structured Query Language)」の脆弱性を突く攻撃です。
Webサイトの入力フォームを「データベースへの命令書」だと考えるとわかりやすいでしょう。攻撃者は、すべての顧客情報の開示を求めるなど、この命令書に本来許可されていない指示を密かに書き加えるのです。特に、ECサイトや会員制サービスが狙われやすく、結果として顧客情報や売上情報がごっそり盗まれる可能性があります。

クロスサイト スクリプティング(XSS)

Webサイトの脆弱性を利用して悪意のあるスクリプトを埋め込み、そのサイトを訪れた他のユーザーのブラウザー上で不正なコードを実行させるサイバー攻撃の手法です。Cookie情報やセッションIDを窃取したり、正規のWebサイトに偽のフォームやコンテンツを表示させることで、利用者に個人情報を入力させたりします。

クロスサイト リクエスト フォージェリー(CSRF)

ユーザーが意図しないリクエストを送信させ、ログイン中のWebサイトで不正な操作を実行させる攻撃です。攻撃者は、悪意のあるHTMLタグやリンクを埋め込んだWebサイトを用意し、そこにユーザーを誘導します。このWebサイトを訪問すると、セッションやCookie情報を悪用することで、ユーザーがログイン中のサイト(ネットバンキングやECサイトなど)に対してパスワードの変更や送金などのリクエストが送信されます。リクエストを受け取ったサイトは、これをログイン中のユーザーからのリクエストと判断し、不正な操作を実行してしまいます。

DDoS攻撃

DDoSとは、「Distributed Denial of Service」を指し、日本語では「分散型サービス拒否」などと呼ばれます。複数のコンピューターから大量のリクエストを送信し、Webサービスを停止させる攻撃です。業務の停止や遅延を発生させるほか、それに伴って利用者からの信頼を失うリスクをもたらします。

フィッシングやマルウェア拡散

フィッシングは、メールやSNSを利用してユーザーを偽サイトに誘導し、認証情報や個人情報を盗む攻撃手法です。最近のフィッシング サイトは正規のページを巧妙に模倣しており、いっそう見分けがつきにくくなっています。添付ファイルやリンクを通じたマルウェア感染も多発しています。フィッシングについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もお読みください。


 

企業に求められるWebセキュリティ態勢

企業に求められるWebセキュリティ態勢

企業のWebセキュリティ態勢に関しては、特に以下のような点について検討や準備が必要です。

  • セキュリティ ポリシーの策定
  • インシデント対応フローの明確化
  • 外部セキュリティ ベンダーとの連携
  • 法令およびガイドラインへの対応

企業全体のセキュリティ基準を定め、従業員に周知することは、最も基本的かつ重要な取り組みです。ポリシーが明文化されていない場合、従業員ごとにセキュリティに対する姿勢にばらつきが生じ、その結果として発生する脆弱性を悪用される可能性が高まります。

たとえば「社外からのアクセス方法」や「重要なファイルの保存方法」などについて、明確なルールを策定した上で周知徹底を図るとともに、セキュリティ環境の変化などに応じて、ルール自体も定期的に見直す必要があります。

インシデント対応フローの明確化

攻撃や不正アクセスが発生した場合、最初の数時間の対応が被害の範囲や規模に大きく影響します。そのため、「誰が」「いつ」「何を」するのかを定めたインシデント対応フローをあらかじめ用意しておくことが重要です。

【インシデント対応フローの例】

  1. 異常検知(SOCやAI監視ツールからのアラート)
  2. 初動対応(該当システムの隔離や遮断)
  3. 関係部門への報告(経営層、法務、広報など)
  4. 原因の分析と復旧作業
  5. 再発防止策の検討、実装

外部セキュリティ ベンダーとの連携

Webセキュリティに関わるすべての業務を社内で完結することは現実的ではありません。サイバー攻撃の動向や最新技術に関する情報源として、また専門人材の不足を補うためにも外部のセキュリティ ベンダーとの協力は不可欠です。

特にフィッシングやマルウェアのように攻撃の進化が速い分野では、外部のベンダーが持つ知識や経験を活用することで、より効果的な防御態勢を築けます。

法令およびガイドラインへの対応

企業は、個人情報保護法や業界ガイドラインなど、関連する法規制も順守しなければなりません。違反した場合は罰則の対象となったり、社会的な信用を失ったりすることにもなりかねません。たとえば金融業界であればFISC安全対策基準、医療業界では医療情報システム安全管理指針など、各業界固有の基準および規制への対応が求められます。


 

主なWebセキュリティ対策

Webセキュリティは専門的で難しいというイメージを持たれがちですが、基本的な対策の多くは初心者でもすぐに取り組めることも少なくありません。こうした「小さな積み重ね」が結果的に企業や組織の防御力を高めることにもつながります。ここでは、すぐに実践できる7つの対策を紹介します。

HTTPS (SSL/TLS)の導入

HTTPSを導入することで、Webサイトと利用者の間の通信をを安全なバージョンのTLS (1.2以上)で暗号化し、盗聴や改ざんを防止します。暗号化だけでなく、Webサイトが本物であることを証明する役割も果たすため、利用者の信頼を得るうえでも非常に重要です。特にECサイトや会員制サイトでは必須の仕組みであり、導入していない場合、ブラウザーが警告を発するため、不安を感じたユーザーが離れてしまう原因にもなります。

パスワード管理とMFA

「123456」や「password」といった単純なパスワードもいまだに多く使われていますが、こうしたパスワードは攻撃者にとって格好の標的となります。対策としては、推測されにくい長く複雑なパスワードを利用し、かつ定期的に更新することが重要です。パスワード管理ツールを活用すれば、複数の強力なパスワードを安全に管理でき、パスワードの使い回しによるリスクも軽減できます。

また、二段階認証(MFA)を導入すれば、たとえパスワードが漏洩しても不正なログインを防止することができます。

CMSの定期的なアップデート

WordPressなどのCMSは便利ですが、世界中で使われているCMSほど、攻撃者に狙われる可能性も高まります。古いバージョンのCMSには脆弱性が残っているケースも多く、放置をすると、そこが攻撃の入り口になってしまいます。またCMS本体だけでなく、テーマやプラグインなども常に最新のバージョンに更新し、信頼できるテーマやプラグインを選んで使用することが重要です。

セキュリティ プラグインの活用

CMSを使う場合、セキュリティ プラグインの導入も効果的です。多くのプラグインには、不正アクセスを検知してログインの試行を制限したり、マルウェアのスキャンを自動で実行したりする機能が備わっています。こうしたプラグインは、導入が比較的簡単であり、低コストでセキュリティを強化できる点も魅力です。

IP制限

管理画面へのアクセスを特定のIPアドレスのみに許可することで、不特定多数からのアクセスや攻撃を遮断します。特に、Webアプリの管理コンソールや、SaaSの自社組織テナントとのIdP連携における条件付きアクセスの設定で重要になります。この制限により、組織内や特定ネットワークからのアクセスのみを許可し、管理画面への外部からの攻撃リスクを大幅に軽減できます。

ファイルやディレクトリー毎の権限設定

Webサーバー上のファイルやディレクトリーには「読み取り」「書き込み」「実行」といった権限が設定できます。これらを適切に管理することで、不正アクセスによる改ざんなどを防ぐことができます。また、不要なファイルをサーバー上に放置しておくと、それらがセキュリティ ホールになったり、ファイルに格納されている機密情報が漏洩したりするリスクがあるため、定期的な整理が必要です。

脆弱性診断ツールの活用

脆弱性診断ツールは、Webサイトやシステムの弱点を自動的にチェックし、問題点を可視化してくれます。専門知識がなくても利用できるクラウド型のサービスも多いため、初心者でも導入しやすいのが特長です。定期的に診断を行い、検出された問題を放置せず対応することで、攻撃のリスクを軽減できます。

WAF (Web Application Firewall)の導入

WAF (Web Application Firewall)はWebサーバーとインターネットの間に配置され、HTTPリクエストを監視して不正なパターンを検知し、攻撃を未然に防止する防御ツールです。これを利用することで、SQLインジェクションやクロスサイト スクリプティング (XSS)、クロスサイト リクエスト フォージェリー(CSRF)、DDoS攻撃など、一般的なWebアプリ攻撃を防止し、データの漏洩やサービス停止といったリスクを軽減できます。

定期的なバックアップ

サイバー攻撃の被害を最小化するためには、定期的なデータのバックアップも欠かせません。重要なデータを安全な外部ストレージやクラウドに保存することで、マルウェアへの感染やデータの損失が発生した際でも速やかに復旧することが可能です。特に、ランサムウェア攻撃によってデータを暗号化された際には大きな価値を発揮します。


 

まとめ

Webセキュリティは専門知識がなければ対応が難しいと考えられがちですが、いくつかの基本的な事項を徹底するだけでも大きな効果があります。HTTPSや強力なパスワードの導入、CMSの定期的な更新といった小さな取り組みが、結果的にフィッシングや不正アクセスによる深刻な被害を防ぐ第一歩になります。

これらの基本を従業員一人ひとりが実践することで、企業全体のセキュリティ水準を底上げし、進化するサイバー攻撃の脅威に備えることができます。


 

ZscalerのWebセキュリティ

Zscaler Internet Access™は、クラウド ファイアウォール/IPSサンドボックスURLフィルタリングクラウド ブラウザー分離情報漏洩防止(DLP)などを含む包括的なソリューションとして、ネットワーク内外のすべてのユーザーに対して、優れたインターネット セキュリティを提供します。

クラウド ファイアウォール/IPS:ネットワーク層での通信をリアルタイムで監視し、不正なトラフィックを検出してブロックします。SQLインジェクションやクロスサイト スクリプティング (XSS)、クロスサイト リクエスト フォージェリー (CSRF)のようなWebアプリ攻撃に対する防御策としても有効に機能します。

  • クラウド サンドボックス:未知のファイルを動的に解析し、マルウェアやランサムウェアを隔離することで、フィッシングなどを通じた脅威の侵入を効果的に防止します。
  • URLフィルタリング:Webサイトへのアクセスを制御し、悪意のあるサイトやフィッシング ページへの接続を遮断します。
    クラウド ブラウザー分離:ブラウザーのセッションをクラウド環境で分離することで、マルウェア感染やデータの流出リスクを低減します。
  • 情報漏洩防止 (DLP):不正なデータ転送を監視、遮断し、機密情報の外部への流出を防ぎます。SQLインジェクション攻撃の後に発生する情報漏洩リスクも軽減できます。

Zscalerは、Gartner®セキュリティ・サービス・エッジ(SSE)のMagic Quadrant™で、リーダーの1社としての評価を10年連続で獲得しました。2021年に、GartnerはSWGを含む新しいカテゴリーであるセキュリティ・サービス・エッジを定義し、その後Zscalerは、2025年 Gartner セキュリティ・サービス・エッジ(SSE)のMagic Quadrantでリーダーの1社と評価され、実行能力において最も高いポジションに位置付けられました。

Zscaler AIの詳細にご興味のある方は、ぜひ、Zscalerにお問い合わせ、またはデモを依頼するまでご連絡ください。

form submtited
お読みいただきありがとうございました

このブログは役に立ちましたか?

免責事項:このブログは、Zscalerが情報提供のみを目的として作成したものであり、「現状のまま」提供されています。記載された内容の正確性、完全性、信頼性については一切保証されません。Zscalerは、ブログ内の情報の誤りや欠如、またはその情報に基づいて行われるいかなる行為に関して一切の責任を負いません。また、ブログ内でリンクされているサードパーティーのWebサイトおよびリソースは、利便性のみを目的として提供されており、その内容や運用についても一切の責任を負いません。すべての内容は予告なく変更される場合があります。このブログにアクセスすることで、これらの条件に同意し、情報の確認および使用は自己責任で行うことを理解したものとみなされます。

Zscalerの最新ブログ情報を受信

このフォームを送信することで、Zscalerのプライバシー ポリシーに同意したものとみなされます。