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AIOpsとは

人工知能運用(AIOps)は、AI、機械学習(ML)、ビッグ データを活用し、高度な分析、自動化、リアルタイムのインサイトを通じてIT運用を効率化する最新のアプローチです。異常検知、イベントの相関付け、予測分析などのタスクを自動的に連携させることで、組織のレジリエンスを維持しながらパフォーマンスを最大化します。

AIOpsの仕組み

AIOpsは、膨大なITインフラ全体に潜むパターンを検出するために、広範なデータ収集と統合を行い、それをインテリジェントなアルゴリズムに取り込んで活用します。これらのアルゴリズムは高度な監視およびオブザーバビリティー ツールを使ってログやメトリクス、イベントを分析し、具体的な対策につながるインサイトを導き出します。また、システムはインシデント同士を相関付けて原因分析を自動化することで、担当部門の手作業による負荷を大幅に軽減します。

AIOpsは本質的に、分析を通じて通常とは異なる挙動(異常検知)を特定し、それがビジネスの支障に発展する前にアラートを出します。パフォーマンス管理のテレメトリーをサービス管理プロセスと統合することで、潜在的なボトルネックを予測し、優先的に対処すべき課題を迅速に特定できるようになります。その結果、AIOpsはインシデント管理を加速させ、アプリケーションの健全性を維持するのに貢献します。

IT運用管理の難しさ

複雑なIT環境の管理は、次々と押し寄せる緊急対応に追われる終わりなき作業のように感じられることがあります。運用担当者は、ユーザーへの影響が出る前に問題の兆候を見極めるために数多くのシグナルを精査しなければなりませんが、その道のりにはいくつもの課題が立ちはだかります。

  • 過剰なアラートノイズ:大量の通知によって、本当に重要な警告が埋もれてしまい、迅速な対応が難しくなります。
  • データのサイロ化:データを一元的に可視化できないと、異なるシステム間での事象の相関付けがますます困難になります。
  • インシデント対応の遅延:手作業による原因分析は時間がかかるうえ、ヒューマン エラーのリスクがあり、対応の長期化につながります。
  • リソースの制約:人員や予算が限られている場合、高度なトラブルシューティング ツールの導入や維持が困難になります。

AIOpsがIT運用を簡素化する仕組み

人工知能を基盤としたシステムは、膨大なデータセットを高速で処理し、エンジニア個人では見つけられないイベントの相関関係を特定することで、作業負荷を軽減します。高度な自動化は、これらの相関関係とパターンをコンテキスト化し、複雑化したIT環境に明瞭さを取り戻す役割を果たします。

  • 優先順位の最適化:インフラ全体のデータを分析することで、AIOpsは緊急性の高いアラートを特定し、担当部門が優先的に対処すべき事項に集中できるようにします。
  • 包括的な可視性:AIOpsは、ログ、メトリクス、トレースを単一のプラットフォームに集約することで、従来のデバイス、ネットワーク、アプリケーションの監視の壁を解消し、原因と結果の関係を明らかにします。
  • トラブルシューティングの迅速化:自動化された根本原因分析により、推測に頼ることなくインシデントの真の原因を特定し、再発防止にもつなげます。
  • 戦略的なリソース活用:定型業務をバックグラウンドで処理することで、AIOpsは人員をより高度な業務に振り向け、デジタル トランスフォーメーションを加速させます。

AIOpsツールの主な用途

AIOpsは、単なる問題解決を超えた価値を提供します。IT運用(ITOps)部門に特化した機能を提供することで、業務の継続性を維持しながら効率化を推進します。

  • インシデント管理の自動化:チケットの自動起票や再割り当てにより、重要な問題に瞬時に対応できるようになり、解決までのプロセスを迅速化します。
  • 予測分析:過去のデータと機械学習を活用して、システム障害のリスクを予測し、事前対応を可能にします。
  • リアルタイムの監視:イベント データが継続的に取り込まれることで、担当部門は即時対応でき、広範なダウンタイムの回避に向けた自動対応も実現します。
  • データの可視化:インタラクティブなインターフェイスによって、複雑なメトリクスが直感的なダッシュボードに整理されるため、パフォーマンスの傾向を簡単に把握、分析できます。

AIOpsのメリット

AIOpsを導入することで、組織は業務の効率化、複雑性の軽減、日々の運用の円滑化といった効果を実感するようになります。

  • 担当部門の士気向上:煩雑なトラブルシューティングの手間が減ることで、担当部門は創造性や戦略性を発揮できる、やりがいのある業務に集中できるようになります。
  • 復旧時間の短縮:イベントの自動相関により、必要な情報を数秒で特定し、インシデントの解決までの時間を大幅に短縮できます。
  • コンプライアンスの強化:異常を事前に検知することで、長時間の障害を未然に防ぎ、サービス レベル アグリーメント(SLA)や業界規制への準拠を支援します。
  • 顧客満足度の向上:パフォーマンスの問題への迅速な対応により、サービス中断が最小限に抑えられ、信頼性の高いユーザー エクスペリエンスを提供できます。

AIOpsとDevOpsの違い

AIOpsとDevOpsはいずれも、IT運用やソフトウェアのデリバリーを改善することを目的としていますが、そのアプローチは異なります。以下は、両者の主な違いを比較したものです。

比較

AIOps

主な目的:

AIと機械学習を活用してIT運用を自動化

 

主要なテクノロジー:

機械学習、ビッグデータ分析、自動化

 

目標:

インテリジェントな自動化によってシステムのパフォーマンスと信頼性を向上

 

対応の種類:

事後対応型と予測型(例:異常検知、根本原因分析)

 

データ使用:

大量の運用データを収集および分析

DevOps

主な目的:

開発と運用のギャップを解消

 

主要なテクノロジー:

CI/CDパイプライン、Infrastructure as Code、コンテナー化

 

目標:

ソフトウェアのデリバリーを加速し、コラボレーションを強化

 

対応の種類:

予防型と反復型(例:継続的な統合と展開)

 

データ使用:

主にコード リポジトリー、ログ、監視ツールを活用

AIOpsを効果的に導入する方法

AIOpsを組織のワークフローに効果的に統合するには、適切なツールの導入だけでなく、強固な基盤に基づいた戦略的なアプローチが不可欠です。ここでは、AIOpsのメリットを最大限に引き出すための主なステップを紹介します。

  • 高品質なデータからの着手:AIOpsの効果は取り込むデータの質に左右されます。システムが網羅的で整った構造化データを生成していることを確認しましょう。
  • サイロの解消:インフラ、アプリケーション、ネットワーク層にまたがるデータを統合し、AIOpsが正確なインサイトを導き出すためのコンテキストを提供します。
  • 明確な目標設定:平均解決時間(MTTR)の短縮、稼働時間の向上、カスタマー エクスペリエンスの改善など、具体的な目的を設定して導入の方向性を明確にします。
  • 部門横断的な連携の促進:ITOps、DevOps、ビジネス部門の連携を強化し、自動化の取り組みを組織全体の優先事項と一致させます。

AIOpsの今後の展望

テクノロジーの進化に伴い、AIOpsは今後、世界中の組織にとってさらに重要な存在となるでしょう。データ量の急増と最新のアーキテクチャーの複雑化により、手作業だけでの対応には限界が見えてきています。高度な機械学習モデルを取り入れることで、これまで以上に正確に問題を予測し、事前に対処できるようになります。

次のステップとして考えられるのは、より広範なサービス管理プロセスとの統合を一層深めることです。インシデント、タスク、変更管理を個別のシステムで追跡するのではなく、完全に統合されたプラットフォームでこれらの領域を連携させるようになります。その結果、AIによる推奨が運用上の意思決定のあらゆる段階を導き、極めて迅速で連携の取れた対応が可能になります。

将来を見据えると、AIやMLの進化により、AIOpsの可能性はさらに広がっていくでしょう。より多くの組織がデジタル トランスフォーメーションを推進し、予防的なアプローチを重視する文化を取り入れる中で、AIOpsは単なる支援ツールから、IT分野における欠かせない基盤へと進化していくことが期待されます。

AIを活用したZscaler Digital Experience

Zscaler Digital Experience (ZDX)™は、AIを活用してデジタル エクスペリエンス モニタリングを効率化し、IT部門がユーザーの生産性に影響が出る前にパフォーマンスの問題を予防的に検出、診断、解決できるようにします。

ユーザー、ネットワーク、アプリケーション全体をエンドツーエンドで可視化することで、ZDXは高度な分析と自動化を組み合わせ、インシデント管理をシンプルかつ迅速にします。他のAIOpsソリューションと同様に、ZDXは根本原因の自動特定、アラート疲れの軽減、そして組織のスムーズな運用維持を支援することで、一般的なIT課題に対応します。

  • 包括的な可視化:デバイス、ネットワーク、アプリケーションを問わず、ユーザー エクスペリエンスを一元的に可視化します。
  • AIによる根本原因分析:AIを活用してデータの分析とイベントの相関付けを行い、パフォーマンスの問題を迅速に特定、解決します。
  • 運用の複雑さの軽減:複数の監視ツールを1つのソリューションに統合し、ノイズを最小限に抑えながら運用を効率化します。
  • 従業員の生産性向上:リアルタイムで障害に対処することで、ダウンタイムを未然に防ぎ、ユーザー満足度の向上につなげます。
  • インシデント ダッシュボード:AIを活用した自動的な関連付けを通じて、アプリケーション、Wi-Fi、Zscalerのデータ センター、接続ISPおよび中間ISP、エンドポイントの問題を検出します。
  • ZDX Copilot:質問することで、アプリケーション、ネットワーク、デバイスのデジタル パフォーマンス問題を即座にトラブルシューティングして解決し、インサイトを取得できます。

デモを依頼して、Zscaler Digital ExperienceがIT運用をどのように変革するかをご確認ください。

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AIOpsは、機械学習と分析を活用して、問題の検出、診断、解決を自動化します。一方、従来のツールは、手動による監視やしきい値に基づいたアラート、柔軟性に乏しいスクリプト化されたワークフローに依存する傾向があります。

IT部門には、データ分析、機械学習の基礎知識、自動化、IT運用に関する確かな基礎スキルが求められます。また、分野を越えた連携によって、AIOpsの効果がさらに高まり、導入が促進されます。

はい。AIOpsは、実用的なインサイトの提供、高速なフィードバック ループ、自動化の支援を通じて、DevOpsを補完します。これにより、アジャイル手法で動く部門は問題を早期に検出し、ワークフローを効率化しながら、継続的デリバリーを持続できるようになります。

中小企業は、重要なシステムを対象に絞ったパイロット プロジェクトから開始し、コストを抑えるためにクラウドベースのAIOpsツールを活用するのが効果的です。定型業務の自動化を優先し、効率やインシデント対応の改善が数値で確認できるようになった段階で、段階的に導入を拡大していくことが推奨されます。

金融、医療、eコマース、通信、製造など、IT環境が複雑でデータ量の多い業界では、AIOpsの導入によって稼働時間の向上、運用の効率化、障害の予測、カスタマー エクスペリエンスの向上といった大きなメリットが得られます。