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攻撃対象領域とは

攻撃対象領域とは、脅威アクターが不正アクセスするために悪用できる組織のデジタル環境や物理環境のあらゆる部分を指し、ネットワークから人的要素にまで及びます。これには、システム、デバイス、アプリケーションの潜在的な脆弱性が含まれ、個人と組織を標的とする悪意のあるソフトウェアやその他のサイバー脅威につながります。

攻撃対象領域が重要な理由

攻撃対象領域は、サイバー犯罪者がコンピューター システムに侵入するために悪用できるすべての侵入経路を表しているため重要な要素です。セキュリティ部門は、個人データや機密情報を保護するために、弱いパスワードや古いオペレーティング システムなどの潜在的な脆弱性を迅速に特定し、対処しなければなりません。

攻撃対象領域の範囲を無視する組織は、常に新たなアクセス方法を探している脅威アクターによって危険にさらされます。脅威環境が継続的に進化するなか、組織は攻撃対象領域を削減し、全体的なセキュリティ態勢を強化するために積極的な対策を講じる必要があります。

攻撃対象領域における主なリスク

攻撃対象領域に対する可視性を維持することは不可欠ですが、新たに現れる脅威は、セキュリティ部門にとってこれまでにない課題となっています。以下は、攻撃対象領域を脅かしている5つの要因です。

  • ランサムウェア悪意のあるソフトウェア:脅威アクターは高度なツールを駆使してシステムを混乱させ、データを人質に取ります。
  • フィッシング メール:サイバー犯罪者は偽のメッセージを作成し、ユーザーをだましてログイン認証情報を引き出し、有害なリンクをクリックさせます。
  • クレデンシャル スタッフィング:自動化された攻撃は、1回の侵害で漏洩したパスワードを悪用して複数のアカウントに侵入し、不正アクセスを行います。
  • 正しく設定されていないクラウ:サービスやストレージ バケットの設定ミスにより、攻撃者は個人データを盗み、重要なシステムを変更します。
  • 内部脅威:不満を抱いた従業員や経験不足のスタッフも、組織の防御を内部から危険にさらす可能性があります。

攻撃対象領域の構成要素

組織の攻撃対象領域は、Webページやサーバーだけでなく、悪意のある人物によって操作される可能性のあるあらゆるものに及びます。以下では、3つの主要カテゴリーとそれらを構成する典型的な要素について解説します。

デジタル

デジタルの要素は広く普及しており、オンライン資産や仮想リソースを含みます。多くの場合、脅威アクターが簡単に悪用できる、設定ミスや古いシステムが含まれます。

  • Webアプリケーション:公開されているサイトやポータルには、パッチが適用されていないソフトウェアやコードの欠陥が含まれていることがあります。
  • オペレーティング システム:ソフトウェアが古くなり、セキュリティ更新が行われなくなると、悪用可能なセキュリティ ホールが生じます。
  • クラウド環境:仮想マシンやコンテナーは、設定ミスが見落とされている可能性があります。
  • APIと統合:保護が不十分な場合、サービス間のデータ ストリームが漏洩しかねません。

物理ハードウェア

高度に接続された環境であっても、物理的な領域は無防備なまま放置されると、攻撃者に悪用される可能性があります。警戒が弱まると、ドア、デバイス、ネットワーク ハードウェアはそれぞれ以下のような課題を引き起こします。

  • ハードウェア デバイス:保護されていないルーターやIoTデバイスは、攻撃者にとって直接の侵入経路となります。
  • サーバー ルーム:訪問者の検証が不適切であったり、アクセス ログが見落とされていたりすると、改ざんが発生する可能性があります。
  • ワークステーション:ログインしたまま放置された端末は侵入経路になります。
  • 物理的な鍵やバッジ:テールゲーティングや盗まれたキー カードの使用は、標準的なチェックを回避します。

ソーシャルエンジニアリング

人間の性質は犯罪者にとって依然として格好の標的であり、信頼や不注意は武器となり得ます。こうした操作的な戦術を理解することは、システムと個人データを保護するために重要です。

  • フィッシング攻撃:詐欺メールやメッセージで従業員をだまして機密情報を引き出そうとします。
  • プリテキスティング:攻撃者は権威者を装い、機密情報を要求します。
  • テールゲーティング:攻撃者は許可された従業員の後について行くことで、適切な認証なしで制限区域に実際に侵入します。

攻撃対象領域を拡大させるもの

厳格なサイバーセキュリティ対策を講じていても、組織の攻撃対象領域の規模と複雑さは徐々に増す傾向にあります。以下は、ビジネスやテクノロジーの自然なプロセスを通じて攻撃対象領域を拡大させる5つの一般的な方法です。

  • 急速なIT成長:新しいアプリケーション、サービス、インフラは、設定ミスに対して追加の脆弱な層を発生させます。
  • リモート ワーク:分散した従業員により、利用中のエンドポイントとネットワークの数が増加します。
  • サードパーティー ツールの使用:統合やアウトソーシングされたサービスにより、外部のリスク要因が発生します。
  • 頻繁なソフトウェアの展開:継続的な更新は適切にテストされていない場合、弱点が発生します。
  • 従来の機器:最新のパッチが適用されていない古いシステムは、侵入経路を広げます。

攻撃対象領域と攻撃ベクトルの比較

攻撃対象領域と攻撃ベクトルという2つの用語は混同されがちですが、それぞれ異なる概念であり、セキュリティ部門やSOC部門が個別に注意を払う必要があります。以下の表でこれらの違いを簡単に比較しています。

比較

攻撃対象領域

定義:

システム内のすべての潜在的な脆弱性と侵入経路の総称


範囲:

デジタル、物理、ソーシャル エンジニアリングの弱点を網羅


複雑さ:

広範囲かつ多面的なため、継続的な監視と分析が必要


例:

ネットワーク エンドポイント、ユーザー デバイス、保護されていないサーバー、クラウドの設定ミス


防御アプローチ:

広範囲かつ総合的なアタック サーフェス管理の導入

攻撃ベクトル

定義:

攻撃者がシステムを悪用するために用いる具体的な手法(例:フィッシング)


範囲:

悪意のあるリンクやソフトウェアなどの特定のアプローチに特化


複雑さ:

侵入の1つの側面に特化


例:

フィッシング メール、マルウェアのダウンロード、資格情報の窃取、直接的なハッキング


防御アプローチ:

攻撃者が選択した経路の特定と遮断

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攻撃対象領域を削減する方法

全体的な露出を削減することで、侵入の防止や早期の遮断が可能になります。以下は、組織を保護するための5つのベスト プラクティスです。

  • 頻繁なパッチ適用と更新:すべてのオペレーティング システムとアプリケーションが最新バージョンで実行されるようにします。
  • 強力なアクセス制御の実施:固有のログイン資格情報を義務付け、権限の付与は重要な役割に制限します。
  • 従業員の定期的なトレーニング:フィッシング メールや疑わしい情報要求を見分けられるように従業員を教育します。
  • ネットワークとテクノロジーのセグメント化:機密データを分離することで、1つのエンドポイントが侵害されても環境全体が危険にさらされることを防ぎます。
  • ゼロトラストの適用:すべてのユーザー、デバイス、サービスを継続的に検証し、不正な侵入経路を大幅に削減します。

アタック サーフェス管理の未来

クラウド移行や新サービスの展開において、迅速な運用を求める圧力は今後さらに強まるでしょう。組織がよりグローバル化し、デジタル接続が深まるにつれて、露出の定義が進化し、自社の環境を継続的に監視する必要に迫られます。脅威アクターも手法を急速に進化させており、サイバーセギャップの検出と解消に常に警戒して対応する必要があります。

こうした課題に対応するために、ゼロトラスト フレームワークは、動的で常に変化する環境を保護するためのゴールド スタンダードになりました。ゼロトラスト アーキテクチャーは、ユーザー、デバイス、アプリケーション、アクセス要求をそれぞれ検証することで、攻撃対象領域を縮小し、脅威に対する回復力を強化します。イノベーションの推進が続くなか、先進的なセキュリティ部門は堅牢なテクノロジーと人間による監視を統合し、より安全なデジタルの未来を切り拓いていくでしょう。

Zscalerのゼロトラストによる攻撃対象領域の大幅な削減

Zscaler Zero Trust Exchange™はアプリケーションを不可視化して、ラテラル ムーブメントを排除し、接続元を問わずあらゆるユーザー、デバイス、ワークロードに安全な適応型アクセスを適用することにより、攻撃対象領域を縮小できるようにします。Zscalerは、AIを活用したポリシーの施行と継続的なリスク評価を行うことで、従来の境界防御を廃止し、現代の動的なデジタル環境向けに構築されたクラウド ネイティブ プラットフォームを提供します。Zscalerにより、以下のことが可能になります。

  • アプリケーションをインターネットから不可視化し、攻撃者への露出を最小化
  • 暗号化されたセッションを含むすべてのトラフィックをリアル タイムで検査して脅威をブロック
  • ユーザーをネットワークではなくアプリケーションに直接接続し、ラテラル ムーブメントを防止
  • 機密性の高い転送中データ、保存データ、使用中データを自動的に識別して保護

Zscalerのゼロトラスト ソリューションをご確認いただき、攻撃対象領域の削減にお役立てください。

よくある質問

リモート環境やハイブリッド環境では、デバイス、ネットワーク、アプリケーションを追加で導入することが多く、攻撃対象領域が拡大します。そのため、従来のオフィス境界外からアクセスされる機密データを保護するための新たなセキュリティ対策が必要となります。

攻撃対象領域は動的であり、組織が新しいテクノロジーの導入やデバイスの追加、システムの更新を行うなかで継続的に進化します。新たなリスクを特定し、それに応じて防御策を適応させるには、定期的なレビューが不可欠です。

はい、従業員が許可されていないアプリをインストールしたり、弱いパスワードを使用したりする行為によって、意図せず脆弱性を増大させる可能性があります。セキュリティ トレーニングとポリシーの施行により、ユーザーの行動によってもたらされるリスクを軽減できます。

どの組織も攻撃対象領域を完全には排除できません。目標は、潜在的な侵入経路を継続的に特定、最小化、保護し、サイバー攻撃の成功率を低減することです。

すべてのハードウェアとソフトウェア資産の徹底したインベントリーを維持することで、保護が必要なものを追跡し、より効果的な監視、脆弱性管理、リスク評価を可能にします。