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ゼロトラスト完全ガイド | 一般的な導入メリットから具体的なソリューションまで
サイバー攻撃の高度化、働き方の多様化、クラウド活用の加速などを背景に、これまでの境界型セキュリティでは組織の環境を守りきれなくなった今、注目を集めているのが「ゼロトラスト」という新しい考え方です。
本記事では、ゼロトラストの基本的な概念から、導入が求められる背景、具体的な構成要素、メリットとデメリット、導入時の注意点などをわかりやすく解説します。
ゼロトラストとは | セキュリティの新たな概念

ゼロトラストとは、暗黙の信頼を排除し、『すべてを検証する』という原則に基づいたセキュリティの概念の一つです。
従来のセキュリティ対策は、社内ネットワークを「安全な内部の空間」として扱い、ファイアウォールやVPNなどを用いて外部との境界で防御する「境界型モデル」が一般的でした。しかし、クラウド活用やリモート ワークの普及により、現在の環境では境界そのものが曖昧になりつつあり、従来の方法では新しいリスクに十分に対応することが難しくなっています。
ゼロトラストでは、たとえ社内のユーザーであっても、アクセスを無条件に信頼することなく、都度検証を行います。また、通信内容も継続的に監視することで、不審な挙動を早期に検知し、組織全体のセキュリティ リスクを最小化します。
ゼロトラストが注目される背景 | 必要な理由

ゼロトラストが注目されるようになった背景には、以下のような要因があります。
- クラウド利用の急増
- リモート ワークの定着
- サイバー攻撃の巧妙化と内部脅威の増加
これらについて順に解説します。
クラウド利用の急増
Amazon Web Services (AWS)やMicrosoft Azureなどのクラウド インフラ、Google WorkspaceやSalesforceなどのSaaSツールが普及し、企業のIT環境がクラウドへと移行するなかで、「社内=安全」「社外=危険」という従来の前提が通用しなくなっています。特に、クラウド サービスは社外環境からのアクセスも前提となるため、すべてのアクセスの信頼性を都度検証する必要があります。
リモート ワークの定着
コロナ禍をきっかけにリモート ワークが定着し、従業員が社外から社内リソースにアクセスするケースが急増しました。私物のPC (BYOD)や自宅のネットワークなど、統一的なセキュリティ水準が確保されていない環境からの接続が日常的に行われており、これまでの境界型モデルでは十分に対応できなくなっています。
サイバー攻撃の巧妙化と内部脅威の増加
ランサムウェアや標的型攻撃など、外部からの脅威はますます巧妙になっています。従業員や委託先による意図せぬ情報漏洩など、内部脅威も深刻な課題です。
【代表的な攻撃手法】
- フィッシング攻撃:攻撃者が偽のメールやWebサイトを使ってユーザーのパスワードや認証情報などを盗み取る手法です。盗まれた情報はシステムへの侵入などに利用され、さらなる被害につながります。
- ゼロデイ攻撃:パッチが提供される前の未知の脆弱性(ゼロデイ脆弱性)を標的とする攻撃です。VPNやファイアウォールなど、ネットワーク境界そのものの脆弱性が狙われる場合もあり、従来のセキュリティでは防御が困難です。
【実際の事例】
- SolarWinds事件:SolarWinds社が提供する企業向けIT管理ソフトウェアのアップデート プログラムが改ざんされ、バックドアを通じて多くの政府機関や企業のシステムが不正アクセスを受けました。
- Colonial Pipeline攻撃:米国最大級の燃料輸送インフラ会社Colonial Pipeline社がランサムウェア攻撃を受け、約1週間にわたって業務を停止しました。
フィッシング対策としては、多要素認証や継続的検証を導入することが重要です。また、デバイスの状態や行動の異常を直ちに検知できるようにすることで、ゼロデイ攻撃の被害も最小化することができます。
万が一マルウェアやランサムウェアが侵入した場合でも、アクセス範囲が制限され、通信内容が継続的に検査される環境であれば、SolarWinds事件やColonial Pipeline攻撃のような大規模な影響を回避できた可能性があります。
これらの対策に通じるのがゼロトラストの考え方であり、その重要性が高まっています。
ゼロトラストのメリットとデメリット
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 内部脅威も制御でき、セキュリティ レベルが飛躍的に向上する | 初期コストが高い |
| 多様な働き方に対応できる | 専門知識が必要 |
| コンプライアンスを強化できる | 一時的に利便性が低下する |
ゼロトラストを導入する最大のメリットは、組織全体のセキュリティ レベルを飛躍的に向上させられる点です。従来の境界型モデルでは見落とされやすかった内部脅威(過剰な権限付与や管理対象外デバイスによるものなど)も適切に制御でき、クラウドやリモート環境からのアクセスも、包括的に管理および制御できます。
最近の警察庁の発表では、ランサムウェア侵入経路の半数以上がVPNアプライアンスの脆弱性によるものとされています。ゼロトラストを導入すれば、ユーザーやデバイスへのアクセスを最小限に制御し、データ漏洩や侵入のリスクを抑えられるほか、VPNを使わずに安全なリモート ワーク環境を構築でき、業務効率化にもつながります。
また、ユーザーやデバイスごとの柔軟なアクセス制御により、リモート ワークやハイブリッド ワーク、グローバルに分散した従業員に加え、サード パーティーによる限定的な社内リソースへのアクセスにも安全に対応できます。これにより、社員が自宅やカフェなどのネットワークを使用して業務を行う場合でも、機密データや重要システムのセキュリティを維持できます。さらに、監査証跡の確保やアクセス制御の厳格化により、法令やガイドラインへのコンプライアンス対応も強化できます。
一方で、ゼロトラストの導入には一定のハードルも存在します。システム全体を見直す必要があるため、初期コストや設計工数は増える傾向にあります。既存インフラとの統合や段階的な移行は複雑なプロセスとなり、専門知識が必要になる場合があります。
アクセス制御が厳密になることで、ユーザーの利便性が一時的に損なわれたり、IT部門の管理負荷が増えたりするといった運用上の課題も考慮する必要があります。
ゼロトラストの実現に必要な7つの柱

ゼロトラストを効果的に実現するには、以下の7つのセキュリティ要素をバランスよく構築し、連携させる必要があります。
【ゼロトラストの実現に必要な7つの柱】
- デバイス セキュリティ
- ネットワーク セキュリティ
- アイデンティティー セキュリティ
- ワークロード セキュリティ
- データ セキュリティ
- 可視化と分析
- 自動化
それぞれの柱と対応するソリューションについて順に解説します。
デバイス セキュリティ
業務に使用するPCやスマートフォンなどのデバイスを常に安全な状態に保つ対策です。信頼できる端末だけにアクセスを許可し、ウイルス対策ソフトの導入、OSやアプリの最新バージョンへのアップデートを徹底することで、不正アクセスやマルウェアの侵入を防ぎます。
ゼロトラストでは、エンドポイントの状態(デバイス ポスチャー)をリアル タイムで評価する仕組みを取り入れ、信頼できるデバイスのみにアクセスを許可する動的で柔軟な制御を実現します。さらに、リスク スコアに基づく適応型アクセス制御を活用することで、端末がマルウェアなどに乗っ取られた場合も、その異常を検知して即座にアクセスを遮断します。これにより、ユーザーが知らない間に発生する潜在的なセキュリティ リスクに対応することが可能です。
PC、スマートフォン、タブレットなどの端末(=エンドポイント)をサイバー脅威から守るためのセキュリティ ソリューションには以下のようなものがあります。
- EDR (脅威検知と対応):端末上の不審な挙動をリアルタイムで検知し、検知された脅威に対応します。
- EPP (端末防御基盤):マルウェアやウイルスから端末を保護する防御基盤として機能します。
- MDM (モバイル デバイス管理):モバイル端末の遠隔管理とポリシー適用を担います。
ネットワーク セキュリティ
ゼロトラストにおいては、社内ネットワーク上の通信も無条件に安全とは見なしません。すべての通信を継続的に検証し、不審なトラフィックをリアルタイムで検査、遮断します。
また、ZTNA (ゼロトラスト ネットワーク アクセス)の特性により攻撃対象領域を最小化し、ネットワークの内部構造を外部に露呈しないことで、パブリックIPアドレスを隠した状態を維持します。さらにラテラル ムーブメントを防止することで、侵入者が内部で自由に移動するリスクを排除します。
このようなネットワーク セキュリティの実現には、以下のようなソリューションが活用されます。
- SWG (セキュアWebゲートウェイ):危険なWebサイトへのアクセスを遮断します。
- SDP (ソフトウェア定義の境界):ユーザーやデバイスごとに接続の可否を動的に判定します。
- SD-WAN (ソフトウェア定義型広域ネットワーク):通信を暗号化し、安全かつ効率的に管理します。
アイデンティティー セキュリティ
すべてのユーザーやデバイスに対して厳格な本人確認を行い、必要最小限のアクセス権のみを付与します。多要素認証(MFA)や継続的な認証によって、不正利用やなりすましを防止します。
以下のようなソリューションを活用することで、クラウド上のアカウント、設定、通信内容を可視化し、アクセス制御や監査を通じてデータ漏洩や設定ミスによるリスクを効果的に軽減できます。これにより、SaaSやIaaSなどのクラウド サービスの安全な利用が可能になります。
- IAM (アイデンティティーとアクセス管理):アイデンティティーの一元管理とアクセス制御を担います。
- IDaaS (Identity as a Service): IAMをクラウドで提供するサービスです。
ワークロード セキュリティ
ゼロトラストでは、クラウドやオンプレミスのアプリケーション、サービスなどに関するワークロードの動作を継続的に監視し、不正な利用や異常な動作を検知して防止します。この仕組みにより、すべてのワークロードが動的に保護され、攻撃対象領域の最小化が実現されます。
たとえば、ユーザーが無断でクラウド サービスを契約または利用した場合でも、自動的にその行動を把握し、ポリシーに基づいてアクセス制御や制限を適用し、必要に応じて警告を発します。また、ゼロトラストでは、特定のワークロードが異常な動作(予想外の通信やデータ操作)を行った際に、その動作を迅速に検知して遮断することで、被害の拡大を防ぎます。
具体的なソリューションとしては、以下のようなものがあります。
- CASB (クラウド アクセス セキュリティ ブローカー):クラウド サービスの利用状況を監視、制御します。
- CSPM (クラウド セキュリティ ポスチャー管理): クラウドの設定ミスや脆弱性を検知し、修正します。
データ セキュリティ
ゼロトラスト セキュリティでは、機密データを保護するために、保存時、転送時、利用時にわたる暗号化を徹底するとともに、動的なアクセス制御を適用します。これにより、情報の機密性、完全性、可用性を維持し、不正アクセスやデータの誤操作を防ぎます。
また、DLP (情報漏洩防止)を活用して、重要なデータが不正に送信されたり内部で誤操作された場合のリスクを即座に検知、制御します。さらに、社員のセキュリティ意識向上を目的とした継続的な教育を通じて、人とプロセスを含む包括的な保護体制を構築します。
可視化と分析
ゼロトラスト セキュリティでは、すべての通信、操作、アクセスのログを収集し、リアルタイムで分析することで、異常検知やインシデント対応を迅速に行います。特に、動的かつ継続的な監視を通じて、不正アクセスや脅威の兆候を早期に把握し、迅速な対策を講じることが可能です。
また、外部のセキュリティ専門機関との連携による最新情報の共有や、高度な分析技術との統合により、セキュリティ態勢がさらに強化されます。こうした徹底した可視化と分析により、攻撃対象領域を最小化し、継続的なセキュリティ管理を実現します。
セキュリティ イベントをリアルタイムで監視および分析し、インシデント対応を迅速化するには、以下のような体制やツールを導入します。
- SOC (セキュリティ オペレーション センター):常時監視を行い、インシデント対応を行う専門チームです。
- SIEM (セキュリティ情報とイベント管理):多様なログを統合、分析して脅威を早期に検知します。
自動化
ゼロトラスト セキュリティでは、セキュリティ対策の一部を自動化することで、人的負荷を減らし、迅速かつ正確な対応を可能にします。定型的な運用業務やアラートの対応に加え、リアルタイムのポリシー適用、権限の動的な見直しなど、ゼロトラストの原則に基づいた制御をワークフローの自動化によって効率化します。
さらに、脅威検知後の即時アクション(不正アクセスの遮断や通信の分離など)を通じて、攻撃対象領域を最小化する動的防御を実現します。このような自動化により、人手では対応が難しい高度なセキュリティ運用を継続的に維持することが可能です。
インシデント対応の自動化と運用の効率化を図るには、SOAR (セキュリティ オーケストレーション、自動化、対応)と呼ばれるソリューションの導入が効果的です。
ゼロトラストの導入と運用のポイント
ゼロトラストの導入と運用にあたっては、テクノロジーの導入だけではなく、組織全体での取り組みが求められます。導入を成功させるために意識すべきポイントは以下のとおりです。
【ゼロトラストの導入と運用のポイント】
- 段階的に導入する
- 関係者間での合意形成と教育を徹底する
段階的な導入
ゼロトラストは全体最適を目指すものですが、一気にすべてを置き換えるのは現実的ではありません。まずは、機密情報を取り扱う部署(例:財務部門、人事部門)や、サードパーティーとの連携が多いユーザー群に限定して導入し、成果と課題を評価しながら範囲を拡大するなど、段階的なアプローチが有効です。
関係者間での合意形成と教育の徹底
セキュリティ部門だけでなく、情報システム部門をはじめとする各業務部門、さらには経営層とも連携し、ゼロトラストの目的や期待される効果を明確に共有することが重要です。ゼロトラストは単なる技術導入にとどまらず、組織全体で取り組むべき戦略的な変更となるため、各部門の理解と協力が欠かせません。同時に、社内教育を通じて全従業員のセキュリティ リテラシーを高めることが、日々の運用の成功を支える鍵となります。
まとめ
ゼロトラストは、従来の境界型セキュリティに代わる次世代のセキュリティ モデルとして、世界的に注目を集めています。
このモデルは「暗黙の信頼を排除し、すべてを検証する」という原則を基盤としており、ユーザー、デバイス、アプリケーション、ネットワークを包括的に保護することで、より強固かつ柔軟なセキュリティ態勢を構築します。これにより、従来の境界に依存しない堅牢な防御を実現し、内部脅威や外部攻撃から組織を守ることが可能です。
一方で、ゼロトラストの導入には、企業特有の環境に合わせた段階的な設計や、関係部署間の合意形成、従業員への教育などの取り組みが不可欠です。
本記事では基本概念から導入のポイントまでをわかりやすく解説しました。ぜひ、自社にとって最適な形でゼロトラストを検討し、持続可能なセキュリティ体制の構築にお役立てください。
Zscaler Zero Trust Exchangeによるゼロトラストの実現
Zscaler Zero Trust Exchangeは、ゼロトラスト モデルの導入を支援するクラウド ネイティブなプラットフォームであり、その特性により、従来型セキュリティから効果的に移行するためのスムーズな実現を可能にします。このプラットフォームは、ゼロトラストの「オーバーレイ モデル」として設計されており、既存インフラをそのまま活用しながら構築できるため、大規模なIT環境の刷新を必要とせず、段階的な導入をサポートします。
さらに、Zscaler Zero Trust Exchangeは「ジャーニー型のアプローチ」を採用しているため、ゼロトラストの導入をリスクの高い領域や優先的に保護が求められるシステムから開始し、段階的に適用範囲を拡大することが可能です。このアプローチにより、企業は計画的かつ効率的にセキュリティを向上させながら、導入の複雑さを最小限に抑えることができます。
また、このプラットフォームは、従来のポイント製品群(VPN、ファイアウォール、セキュリティ アプライアンスなど)に依存する必要がなく、統合されたクラウド基盤のもとで完全にセキュリティ機能を提供します。これにより、セキュリティ管理の効率化だけでなく、ITコストの削減も実現できるほか、VPNの接続時に必要だった煩雑なプロセスを排除し、ユーザーにシームレスなアクセス体験を提供します。
【Zero Trust Exchangeの特長】
- 攻撃対象領域の最小化
- アプリケーションをZero Trust Exchangeの背後に置くことで、外部から不可視化します。
- 侵害の阻止
- TLS/SSLで暗号化された通信を含め、すべてのトラフィックをリアルタイムで検査します。高精度な脅威検出とポリシー適用により、リスクのある通信を即座に遮断します。
- ラテラル ムーブメントの防止
- ユーザーやシステムをネットワークから分離し、ネットワーク内部での不正な移動を防止します。
- 情報漏洩の防止
- SaaSやクラウド、端末上など、あらゆる場所のデータを保護します。AIによる自動分類で運用負荷を軽減しながら、機密情報を守ります。
- ユーザー エクスペリエンスの向上
- ユーザーは必要なアプリケーションにシームレスにアクセスできます。VPNで接続するときのような煩雑なプロセスは必要ありません。セキュリティを強化しながら、利便性も確保できます。
- IT運用の簡素化とコスト削減
- 複数のセキュリティ機能を1つのクラウド基盤に統合し、運用の複雑さを軽減します。保守、管理の手間を省き、全体的なITコストを最適化できます。
Zscaler Zero Trust Exchangeは、既存のインフラを活用しながら、段階的かつ効率的にゼロトラストを実装することを可能にします。その統合されたクラウド基盤により、従来型セキュリティの制約から解放され、現代のIT環境に求められる柔軟性と強固なセキュリティを両立する理想的なプラットフォームです。
セキュリティの強化と運用の効率化を目指す企業にとって、今後のIT基盤を支える重要な存在となるでしょう。
Zscalerのゼロトラストの詳細については、デモにてご確認ください。
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免責事項:このブログは、Zscalerが情報提供のみを目的として作成したものであり、「現状のまま」提供されています。記載された内容の正確性、完全性、信頼性については一切保証されません。Zscalerは、ブログ内の情報の誤りや欠如、またはその情報に基づいて行われるいかなる行為に関して一切の責任を負いません。また、ブログ内でリンクされているサードパーティーのWebサイトおよびリソースは、利便性のみを目的として提供されており、その内容や運用についても一切の責任を負いません。すべての内容は予告なく変更される場合があります。このブログにアクセスすることで、これらの条件に同意し、情報の確認および使用は自己責任で行うことを理解したものとみなされます。



