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SASEの導入におけるDLPの重要な役割とは
セキュア アクセス サービス エッジ(SASE)は、クラウドファーストの環境で分散したネットワーク、ユーザー、データを保護しようとする組織にとって中核的なフレームワークとなります。このフレームワークの中で、情報漏洩防止(DLP)は、あらゆるチャネルにわたる機密情報を保護するうえで重要な役割を果たします。SASEの導入にあたって効果的なDLPを組み込むことで、組織はより一貫性と拡張性に優れた方法で重要なデータを保護できます。

DLPとSASEの概要
DLPとは
情報漏洩防止(DLP)は、機密データを不正アクセス、誤用、または偶発的な漏洩から保護するセキュリティ技術です。DLPソリューションは、転送中データ、保存データ、使用中データを発見、分類、監視し、ポリシーを施行することで漏洩を防ぎます。機密データへのアクセスや共有を許可されたユーザーのみに限定することで、リスクを低減し、コンプライアンス要件への準拠を支援します。
詳細はこちら:DLPとは
SASEとは
セキュア アクセス サービス エッジ(SASE)は、セキュリティとネットワークを単一のクラウド型プラットフォームに統合するセキュリティ フレームワークです。SASEは、SD-WAN、セキュアWebゲートウェイ(SWG)、クラウド アクセス セキュリティ ブローカー(CASB)、Firewall as a Service (FWaaS)、ゼロトラスト ネットワーク アクセス(ZTNA)などを統合することで、エンドポイント、SaaS、クラウドにわたってリソースへの安全なアクセスを提供します。SASEは、従業員が分散した現代の環境向けに設計されており、リスクを低減しながらIT運用を簡素化します。
詳細はこちら:SASEとは
DLPとSASEに注目が集まる理由
現代のコンピューティング環境において、機密データは変化するリスクや課題にさらされています。主に以下のような要因を背景として、強力なDLPソリューションやSASEソリューションの導入が加速しています。
- データの分散:機密データはエンドポイント、SaaSプラットフォーム、クラウド サービスにまたがって存在するため、追跡と保護が難しくなっています。
- リモート ワークとBYOD:ハイブリッド ワークやBYODポリシーによって、管理対象外のデバイスや安全が確保されていないアクセス ポイントが組織のネットワークに持ち込まれ、攻撃対象領域が拡大しています。
- 規制順守:一般データ保護規則(GDPR)やカリフォルニア州消費者プライバシー法(CCPA)などのデータ プライバシー法により、違反時には高額な罰金が科されます。
- 従来ツールの限界:DLPの従来のポイント ソリューションは、多くの場合、セキュリティの断片化、管理ポリシーの不整合、管理コストの増加を招きます。
- 暗号化トラフィック:Webトラフィックの95%以上が暗号化されており、脅威の87%以上が暗号化チャネルに潜んでいるため、検査はいっそう難しくなっています。
- 高度な脅威:分散型ネットワークにおける脆弱なデータや保護されていないチャネルを狙った高度なランサムウェア、フィッシング、内部脅威が増加しています。
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DLPをSASEフレームワークに組み込む理由
従来のDLPツールでは、クラウドを活用する現代の環境に対応しきれません。ソリューションのサイロ化によってセキュリティ ギャップが生まれ、ポリシー管理が複雑化し、機密データの保護はいっそう難しくなります。統合型DLPをSASEフレームワークに組み込むことで、データ セキュリティの一元化、リアルタイムの脅威検知の強化、拡張性と適応力に優れたセキュリティを実現し、こうした課題を解決できます。
主なメリットは以下のとおりです。
- 統一された一貫性のあるポリシー:エンドポイント、クラウド アプリ、メール、SaaS全体で適用します。
- リアルタイム検査:暗号化トラフィック内を含め、転送中データと保存データを検査します。
- クラウドベースの拡張性:組織の成長に合わせて可視性と制御を合理化できます。
- ポリシーの自動調整:ユーザーの行動、デバイスの信頼性、アクセス リスクに応じた処理が行われます。
SASE導入におけるDLPのユース ケース
DLPは、SASEフレームワークの中で、一般的な脅威や脆弱性に対する実践的な対策を提供します。たとえば、以下のような場面で役立ちます。
- データ流出の防止:過剰な共有、設定ミス、高リスクのアプリ(生成AIなど)を通じてユーザーから意図せぬデータ漏洩が起こることを防ぎます。
SaaSアプリケーションの保護:CRMやコラボレーション ツールなどのSaaSプラットフォーム内の機密データが不正に共有または公開されることを防ぎます。 - BYODワークフローの保護:管理外の個人デバイスやアプリへのデータ転送をブロックし、モバイルおよびリモート ワーク環境でのコンプライアンスを確保します。
- フィッシングとランサムウェアの阻止:暗号化されたトラフィックを通じて隠れて行われるデータの持ち出しを検知し、攻撃者の試みが成功する前に阻止します。
SASEにおけるDLPの戦略的メリット
DLPをSASEに統合することで、特定の脅威への対応のみにとどまらず、組織のセキュリティ アプローチ全体を変革できます。ゼロトラストの原則を組み込むことで、DLPは検証済みのユーザーとデバイスのみが機密データにアクセスできるようにし、クラウド中心の環境で暗黙の信頼がもたらすリスクを排除します。
また、SASEの目標である一貫した保護を支援し、オンプレミス、クラウド、エンドポイントといったあらゆる領域でのデータ保護を可能にします。統一されたポリシーとリアルタイム分析により、担当部門はリスクの優先順位付け、新たな脅威への対応、事業成長に合わせた保護の拡張を実現できます。
DLPとSASEの統合がもたらす運用上のメリット
SASEにDLPを統合することで、ITワークフローを簡素化し、従来型ツールに伴う負担を軽減できます。主な運用上のメリットは以下のとおりです。
- 管理の簡素化:データ ポリシーの策定と施行に関する統一的なアプローチによって、重複を排除し、ワークフローを統合できます。
- 可視性の向上:統合ダッシュボードによって、すべてのシステムにおけるデータ フロー、脅威、コンプライアンス状況を一元的に把握できます。
- 迅速なインシデント対応:自動化とアラートの集中管理により、担当部門はリスクを迅速かつ正確に特定し、対応できます。
- コスト削減:統合プラットフォームにより、複数のポイント ソリューションへの依存を減らし、コストと複雑性を抑制します。
- 正確な検知:完全データ一致(EDM)などの高度な手法により誤検知を減らし、IT部門が実際の脅威への対応に集中できるようになります。
最終的に、DLPをSASEフレームワークの一部として組み込むことで、組織は今日の分散型かつクラウド中心の環境で、より安心して運用を行えるようになります。
Zscalerのソリューション
Zscalerの統合DLPソリューションは、現代の分散型かつクラウドファーストの環境向けに特化して構築されています。ZscalerはIDC MarketScape: Worldwide DLP 2025 Vendor AssessmentでDLPのリーダーの1社として評価されており、以下のような高度な機能を通じてギャップを排除し、セキュリティ管理を簡素化します。
- シームレスな統合:エンドポイント、クラウド、メール、SaaS全体で一貫したポリシーを施行し、統合的なデータ保護を実現します。
- 暗号化トラフィックの検査:TLS/SSLトラフィックをリアルタイムで検査し、パフォーマンスを損なうことなく脅威を検知します。
- AIによる高精度検知:AIと自動化により機密データを正確に検出し、誤検知を最小化します。
- クラウドベースの拡張性:分散した従業員やアプリケーション全体にわたって保護を容易に拡張できます。
Zscaler DLPは、Zscaler Zero Trust SASEとネイティブ統合され、オーバーレイ ルーティングやVPNに頼ることなく、ユーザー、拠点、クラウドを安全に接続し、リスク低減、コスト削減、優れたユーザー エクスペリエンスの提供を可能にします。
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よくある質問
SASEアーキテクチャーにおけるDLPポリシーは、ユーザー、デバイス、クラウド アプリケーション間を移動するデータを監視し、機密データを自動的に特定、保護する役割を担います。SASEによるネットワークレベルでの制御とDLPを組み合わせることで、ユーザーがどこで業務を行っていても、すべてのトラフィックに対して一貫したポリシーを施行し、情報漏洩や不正アクセスを防止できます。
DLPをSASEに統合することで、分散ネットワーク全体にわたる統合型のデータ保護、管理の簡素化、リアルタイムのポリシーの施行が実現します。ハイブリッド環境でのデータ保護の複雑さを軽減し、コンプライアンス対応を強化しながら、ユーザーやアプリが従来の境界外で稼働する場合でも機密情報を保護します。
SASEフレームワークにおいて、DLPは規制対象データの不正共有を防止するポリシーを施行し、GDPR、HIPAA、PCI DSSといった基準への準拠を自動化します。機密データの利用状況を可視化し、監査対応レポートを生成し、重要な規制順守を徹底することで罰金のリスクを低減します。

