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SD-WANにかかるコストとは

事業継続性を確保するために信頼性の高い接続が必要とされる環境では、より優れた対応力と回復力を持つネットワークを実現するための各ステップを円滑に進める必要があります。SD-WANは、管理の簡素化、効率性の強化、ダウンタイムの削減を可能にします。しかし、その総コストや、こうしたネットワーク トランスフォーメーションが組織の予算状況に見合った効果を発揮するのかという点については議論の余地が残ります。

SD-WANの定義とコストが重要な理由

ソフトウェア定義型広域ネットワーク(SD-WAN)は、複数の場所でユーザーやデバイスを安全に接続するための仮想アーキテクチャーです。専用回線のみに頼るのではなく、インターネット ブロードバンド、MPLS、4G/5Gなどの多様な接続を活用し、トラフィックをインテリジェントにルーティングします。このアプローチにより、柔軟性と俊敏性が向上し、ネットワーク インフラの使用を効率化できます。現代の組織の多くは複数の拠点で事業を運営しているため、このフレームワークを採用することで、複雑さを最小限に抑えながら最適なパフォーマンスを維持できます。

SD-WANには、管理の簡素化やトラフィックの動的なルーティングなど、明らかなメリットがあるものの、その価格は展開モデルや機能によって大きく異なります。SD-WANの採用を検討するIT担当者は、すべての支出がパフォーマンスの向上と長期的なコスト削減につながることを望んでいます。SD-WANのコストと戦略的な目標のバランスを確保するには、ネットワーク トラフィックを最適化するだけでなく、重要なアプリケーションやデータの保護も可能にするソリューションを見つける必要があります。こうした財務上の影響を事前に評価することで、予算やリソースの不必要な負担を回避できます。

SD-WANのコストの内訳:支出項目

SD-WANの総コストには多くの要素が関係しています。ハードウェアへの投資からサブスクリプション ライセンスといった支出項目を把握することで、予算の内訳が明確になります。SD-WANの総コストに影響するのは主に以下の4つの要素です。

  • アプライアンスとハードウェアのコスト:選択するベンダーやアーキテクチャーによって、物理デバイスの機能、処理能力、セキュリティ機能は異なります。展開シナリオによっては、追加のファイアウォール アプライアンスが必要となる場合もあります。
  • ライセンスとサブスクリプション料金:月額または年額のサブスクリプションには多くの場合、ソフトウェア機能、クラウド管理ポータル、継続的なアップデートなどが含まれています。
  • サポートとメンテナンス:高度なテクニカル サポート、サービス レベル アグリーメント、定期的なパッチ適用は、パフォーマンスの安定に寄与する一方で、繰り返し発生する支出の増加にもつながります。
  • 展開と統合:導入支援、従業員向けトレーニング、ローカル エリア ネットワーク(LAN)との統合には、外部の専門家や社内の労力が必要となる場合があります。

SD-WANのコストに影響を与える主な要因

前述の項目は、発生する支出に対するものなのかを説明するものですが、SD-WANの価格を決めるより広範な要因については十分にカバーできていません。より大まかなレベルで見ると、価格モデルは通常、以下の4つの要素を考慮して決まります。

  • 拠点数:拠点の数が増えるほど、当然のことながらより多くのアプライアンス、帯域幅、監視が必要となるため、コストも増加します。
  • 帯域幅の要件:大量のデータや高度なセキュリティ サービスを扱う組織は、通常、より多くの費用を支払って堅牢な接続を確保します。
  • セキュリティ機能:ファイアウォールや暗号化されたトンネルを組み込んだSD-WANは高額になることがありますが、そのコストは多くの場合、将来発生する侵害による損失を防ぐ形で還元されます。
  • 管理と可視性:管理を一元化し、きめ細かな制御を提供するSD-WANほど、ライセンスやサポートが高額になる可能性があります。

SD-WANの価格モデル

SD-WANを検討する組織の多くは、さまざまな価格体系を目にすることになります。各モデルは異なるビジネス ニーズを対象としており、設備投資や運用支出の予算に合わせた柔軟なソリューションを提供します。一般的なアプローチは以下の3つです。

  1. サブスクリプションベースのモデル:通常はハードウェア、ソフトウェア、サポートがまとめてサブスクリプション料金に組み込まれます。月々のコストを予想でき、簡単に拡張できることを求める企業にとって、魅力的な選択肢です。ただし、ベンダーによっては最低でも一定期間の契約を求められることがあります。
  2. 設備投資モデル:組織がハードウェアを一括購入し、さらに永続ライセンスも取得します。継続的なメンテナンス費用は低く抑えられる一方、初期費用は高くなります。機器を自社で完全に制御できることを望む大規模な組織では、このモデルが好まれる場合があります。
  3. ハイブリッド モデル:一部のベンダーは、ハードウェアをリースしながらソフトウェア プラットフォームはサブスクリプションとする、サブスクリプションと一括払いを組み合わせたモデルを提供しています。費用の予測可能性と所有権のバランスを求める場合、このハイブリッド ソリューションを通じて柔軟な予算管理が可能になります。

SD-WANと従来のWANのコスト比較

移行にあたり、多くの組織では、従来のWANとSD-WANの価格や価値を比較し、明確に把握するための情報が必要となります。両者のコスト構造の本質的な違いを簡潔にまとめた表を以下に示します。

比較

SD-WAN

ハードウェアにかかる初期費用:

中程度から高額(ベンダーによる)

 

継続的なメンテナンス:

自動更新(サブスクリプション料金に含まれる)

 

拡張性:

オンデマンド型のため動的かつスケーラブル

 

帯域幅使用:

インテリジェントなトラフィック ルーティング(使用量に応じて課金)

 

セキュリティ統合:

多くはSD-WANアーキテクチャー内でシームレスに統合

従来型のWAN

ハードウェアにかかる初期費用:

特殊なデバイスを使用するため高額

 

継続的なメンテナンス:

高額なハードウェア更新サイクルが必要

 

拡張性:

固定回線やMPLSにより限定的

 

帯域幅使用:

容量固定(必要以上の料金を支払うことになる可能性がある)

 

セキュリティ統合:

スタンドアロンのファイアウォールやVPNが必要

SD-WANのコストの計算方法

SD-WANのコストを正確に見積もるには、ネットワークで接続された環境に関する基本情報を収集する必要があります。まず、SD-WANを採用する拠点の数と日々必要となる帯域幅を確認します。さらに、環境内で実行されているアプリケーションの種類(特に、中断のないパフォーマンスが求められる重要なアプリケーション)を明確にします。これらの項目を定義することで、ベンダーからの見積もりを比較、検討するための基準を作ることができます。

次に、現在のネットワーク インフラを精査し、ソフトウェア定義のアプローチに移行するための準備が整っているかを評価します。すでに複数のインターネット接続を維持している場合は、SD-WANによってよりコスト効率の高い構造に統合できる可能性がないかを検討してください。同時に、徹底したセキュリティ、オーケストレーション、分析などの高度なモジュールによって、全体的な予算が変わる可能性があることにも注意が必要です。こうした機能が最終的な見積もりにどのように反映されるかをベンダーに確認し、想定外の出費を避けるようにします。

最後に、SD-WAN展開後に考えられる生産性向上とコスト削減をどのように扱うのかを検討します。一部の組織は複数の拠点にわたってプロビジョニングを簡素化することで、リソースや従業員の時間を節約し、目には見えない効率を具体的なROIに変換しています。また、従業員とエンド ユーザーのエクスペリエンスの質を向上させることで、SD-WANのメリットを実感している組織も存在します。これらのリターンを総所有コストの一部として考慮し、最終決定を下します。

SD-WANのコストを最適化するための戦略

コストの最適化にあたって、すべての組織に適した万能な手段はありません。トラフィック パターン、成長曲線、ユーザーのニーズはネットワークによって異なります。価格を抑えるには以下の4つの方法があります。

  • 帯域幅の適正化:実際の使用パターンを分析し、必要以上の容量の費用を支払わないようにします。
  • インターネット ブロードバンドの活用:ブロードバンド接続とインテリジェントなルーティングを組み合わせることで、MPLS回線への依存を大幅に低減できます。
  • サービスの統合:セキュリティとネットワークを単一のSD-WANベンダーにまとめることで、請求処理が簡素化され、ツール間の重複を削減できます。
  • ゼロトラストの採用:ゼロトラスト セキュリティ フレームワークを採用することで、異なる拠点やユーザーを安全に接続する方法を合理化します。また、ポリシーの統合と一元的な可視性を通じて、コストをさらに削減できます。

これらの戦略に従うことで、バランスの取れた形でSD-WANを展開し、ネットワークの目標を達成しながら、予算内でコストを管理し、将来の成長にも対応できる態勢を整えることが可能です。最終的に、支出管理の問題から発生する混乱を回避しながら、パフォーマンスを向上させる余地も生まれます。インフラ管理のための効果的な措置を講じることで、ビジネスのイノベーションを推進するネットワークの構築に集中できるようになります。

Zscaler Zero Trust SD-WAN

Zscaler Zero Trust SD-WANは、拠点、データ センター、クラウド ワークロードの接続において、クラウドファーストの安全かつシンプルなアプローチを採用することで、従来のネットワーク接続を変革します。従来のSD-WANソリューションは組織のネットワークを拡張するため、攻撃対象領域も拡大するリスクが伴います。一方、Zscalerはゼロトラスト アーキテクチャーを活用し、リスクと複雑さを最小限に抑えます。Zscaler Zero Trust SD-WANは既存のインフラとシームレスに統合することで、以下のことを可能にします。

  • 拠点の迅速な展開:組み込みのセグメンテーションにより脅威のラテラル ムーブメントを防止
  • ITインフラの簡素化:従来のファイアウォール、VPN、プロキシを排除
  • ユーザー エクスペリエンスの強化:クラウドへの直接接続アーキテクチャーにより生産性も向上
  • コストの削減:クラウドベースの一元的なポリシー管理により運用リスクも削減

デモを依頼して、Zscaler Zero Trust SD-WANがネットワーク パフォーマンス、セキュリティ、ROIを最適化する仕組みをご確認ください。

このトピックの関連リソース

ゼロトラストSD-WANでラテラル ムーブメントを排除
詳細はこちら(英語)
オーバーレイ ルーティングや脅威のラテラル ムーブメントを排除しながら拠点、工場、データ センターを安全に接続
データ シートを読む
Zero Trust SD-WAN Lightboard Video

SD-WANに切り替えると、ブロードバンドやLTE接続を利用することで従来のMPLSや専用回線のコストを削減できますが、削減できる額はさまざまです。ネットワークや管理にかかるその他の費用は、構成やプロバイダーとの契約内容によって変わる可能性があります。

SD-WANのコストは年1回またはビジネス要件の大幅な変更のたびに見直すことが賢明です。トラフィックの増加、拠点の追加、新たなアプリケーションのニーズなどは、いずれも継続的な費用や契約条件に影響を与える可能性があります。

はい、SD-WANは一般にMPLSよりも低コストです。これは、高額なプライベート回線の代わりに安価なインターネット接続を使用でき、ハードウェアに依存するインフラを必要とせず、管理が簡単なためです。SD-WANは、帯域幅コストを削減するとともに、最新のネットワーク要件に対応するための、より柔軟でスケーラブルな方法を提供します。